タイの銀行口座の作り方と使い方【2026年版】規制強化で何が変わったか

タイの銀行口座の作り方と使い方【2026年版】規制強化で何が変わったか

この記事では、タイで働いている人、これから働く人に向けて、タイの銀行口座の作り方と使い方をまとめて解説する。

タイで生活する上で、銀行はなくてはならないインフラだ。給与はほぼすべての会社が銀行振込だし、家賃も銀行振込で払うことが多い。食事のワリカンも、いまや銀行アプリの送金で済ませるのが普通になった。

この記事はもともと2019年に書いたものだが、この7年でタイの銀行事情は驚くほど変わった。そこで2026年の最新事情に合わせて、全面的に書き直した。

2026年、タイの銀行はここが変わった

まず、この数年の大きな変化をまとめておく。

変わったこと 内容
口座開設の審査が厳格化 詐欺対策で外国人への審査が厳しくなった。ノービザ・観光ビザでの開設は実質終了
送金に顔認証が必要に 2023年7月から、1回5万バーツ以上の送金はアプリで顔認証(全金融機関)
送金の上限額が3段階に 2025年8月から、1日の送金上限が本人確認のレベルに応じて設定される
高額の現金引き出しに用途確認 2026年4月から、窓口で1日500万バーツ以上の現金を引き出すには用途の説明と書類が必要に
バーチャルバンクが開業 支店を持たないスマホ専業銀行が2026年に3行開業する
銀行の顔ぶれが変化 TMB銀行はタナチャート銀行と統合して「ttb」に。シティバンクの個人部門はUOBへ

背景にあるのは、タイで社会問題になっている振り込め詐欺と、詐欺グループに悪用される「他人名義の口座」の対策だ。銀行は口座を作るときも、お金を動かすときも、以前よりずっと慎重になっている。

「昔より面倒になった」のは事実だが、仕組みを知っていれば困ることはない。順番に見ていこう。

タイで銀行口座を開設する

タイで銀行口座を開設するには、基本的には労働許可証(ワークパーミット、WP)が必要だ。タイで合法的に働いている人であれば、いまでも問題なく開設できる。

口座開設に必要なものは以下の通り。

  • パスポート
  • 労働許可証(WP)
  • 自宅の住所、会社の住所、携帯電話番号といった情報
  • 初回入金用の現金+ATMカード発行手数料(500バーツ程度)

ただし以前と違って、口座の利用目的を聞かれたり、追加の書類を求められたりすることが増えた。会社の在職証明を求められたという話も聞く。これは詐欺対策で、銀行が「顧客をよく確認してから口座を作る」よう当局に求められているためだ。時間に余裕をもって、証明できる書類は多めに持って行くのが安全だ。

なお、口座を作るときはWPが必要だが、作ったあとの維持には必要ない。退職しても口座はそのまま使える。

ノービザ・観光ビザでは実質作れなくなった

以前は「観光ビザでも作れる銀行がある」という裏技的な話があったが、この道はほぼ閉じた。たとえばバンコク銀行は2025年1月以降、観光目的の外国人には口座を開設していない。長期滞在向けのDTVビザですら断られる。

働くためにタイに来る人には関係のない話だが、「先に口座だけ作っておこう」はもうできない、と覚えておこう。

家族(WPなし)の場合

駐在に帯同する家族のように、WPを持たない人の口座開設は、銀行や時期によって対応が分かれるのが現状だ。家族ビザと居住証明で開設できる銀行もあるが、条件は流動的で、断定的なことは書けない。

現実的なおすすめは、後述する日本語デスクのある銀行(アユタヤ銀行など)で相談することだ。必要な書類をその場で日本語で確認できるので、無駄足になりにくい。

他人の口座を借りる・貸すのは絶対にダメ

昔は「WPを持つ夫が口座を作って、ATMカードを妻に渡して使わせる」という家庭も多かった。しかし今は、自分で使う目的のない口座を開設したり、他人に口座を使わせたりする行為は、詐欺対策の法律(2023年施行のテクノロジー犯罪防止勅令)で明確に処罰の対象になっている。罰則は最高で禁固3年・罰金30万バーツ。名義貸しと見なされれば、貸した側が刑事責任を問われる。

家族間でも、口座は名義人本人が使うのが原則。この点は昔の感覚のままでいると危ないので、はっきり書いておく。

タイの大手銀行一覧【2026年版】

タイの大手銀行を簡単に紹介する。カッコ内は銀行のイメージカラーだ。

  • サイアム商業銀行(紫):通称SCB銀行。支店数が多く、IT化では最先端
  • バンコク銀行(青):通称バン銀。日本の銀行と提携が多く、日系企業の利用多し
  • カシコン銀行(緑):日系企業の利用多し。アプリの評判がよい
  • アユタヤ銀行(黄):三菱UFJ銀行の傘下。日本語サポートが手厚い
  • クルンタイ銀行(水色):国有系。税金の還付など役所まわりに強い
  • ttb銀行(オレンジ×青):TMB銀行とタナチャート銀行が2021年に統合してできた銀行

タイで就職するとすぐ、「ウチは○○銀行で給料を振り込むので、口座を開いてね」と言われるはずだ。まずはその銀行の口座を開設すればいい。大手であればサービスに大きな差はなく、どの銀行のスマホアプリもよくできている。

日系企業で指定されることが多いバンコク銀行については、バンコク銀行の口座開設と使い方【2026年版】で個別に解説している。

ちなみに、以前この一覧にあったシティバンクの個人向け部門は、2022年にシンガポールのUOB銀行に引き継がれた(経緯はシティバンクのカードはどうなった?にまとめた)。

バーチャルバンクという新顔

2026年は、タイの「バーチャルバンク元年」だ。支店を一切持たず、スマホだけで完結する新しい銀行が、タイ中央銀行の認可を受けて3行開業する。

  • CLICX(クリックス):クルンタイ銀行+通信大手AIS+PTT系の連合。2026年6月19日に、タイ初のバーチャルバンクとして開業済み
  • Ascend Bank:TrueMoney(タイで普及している電子マネー)の系列。2026年7月開業予定
  • BankX:SCB系の持株会社と韓国のKakaoBankなどの連合。2026年末開業予定

日本でいうネット銀行のような存在で、預金金利などで既存銀行より思い切った条件を出してくると見られている。ただし始まったばかりのサービスなので、給与受取のメイン口座は当面大手銀行に置いて、様子を見るくらいの距離感でいいと思う。

口座の種類と金利

日本の銀行には普通預金・定期預金などがまとまった「総合口座」があるが、タイにはない。基本は「普通預金口座」(Saving Account)を1つ作る、と考えればいい。

開設時に登録する電話番号には、認証用のワンタイムパスワードが送られてくる。会社の番号ではなく、必ず自分の携帯番号を登録しよう。

金利については、正直あまり期待できない。タイの政策金利は2026年6月時点で1.00%と、2022年以来の低水準にある。大手銀行の普通預金は年0.5〜0.6%程度、定期預金でも1年もので1.3%前後だ。

ひとつ知っておくといいのは、各行が出している「アプリ専用の高金利普通預金」だ。たとえばバンコク銀行のe-Savingsは、100万バーツまで年1.5%の金利がつく(2026年時点)。似たような口座は他行にもあるので、余ったお金の置き場所として検討する価値はある。

ちなみに、まとまった残高を置くなら、タイの預金保護が「1人1行あたり100万バーツまで」である点も頭に入れておきたい。外貨預金や投資信託は対象外になるなど細かい条件があるので、タイの預金保護の記事にまとめた。

タイで働いていて所得税を払っているなら、金利よりも節税商品(RMFやThai ESGといった税控除つき投資信託)のほうがリターンは大きい。詳しくはタイの個人所得税を節税する方法と手順で解説している。

口座維持費と休眠口座

普通口座は、残高がある程度あれば維持費はかからない。ただし「残高が少ない口座を、取引がないまま放置する」と、維持費が毎月引かれていく(目安として、残高2,000バーツ未満で1年間取引がないと月50バーツ程度。条件と金額は銀行によって少し違う)。

また、長期間入出金がないと口座が休眠扱いになることがある。しばらく使う予定がなくても、残高を2,000バーツ以上にしておき、たまにアプリで動かしておくと安心だ。

ATMカードは必要か?

口座を開設すると、ATMカード(デビットカード)を発行するか聞かれる。発行料と年会費で年数百バーツかかり、保険付きなどの高いカードを勧められることもある(保険は不要だ)。

結論から言うと、いまのタイではATMカードは作らなくてもいい。大手銀行はどこも、スマホアプリを使った「カードレス引き出し」に対応していて、カードがなくてもATMで現金を下ろせるからだ。僕も以前はカードを持っていたが、カードレスで問題ないことがわかって銀行に返却した。

カードがなければ、紛失もスキミングもない。年会費も浮く。唯一の弱点は「自分の銀行のATMでしか下ろせない」ことだが、大手銀行ならATMはどこにでもあるので、都市部で困ることはまずない。地方によく行く人は、現金を多めに持ち歩くなどの備えがあると安心だ。

スマホアプリは必須

口座を開設したら、銀行のスマホアプリは必ずインストールしよう。残高照会、振込、公共料金の支払い、QRコード決済、カードレスのATM引き出しまで、生活に必要なことはほぼすべてアプリで完結する。タイの銀行アプリは、日本の銀行と比べても遜色ない出来だ。

送金の顔認証と上限額 ── 外国人は銀行によって差がある

いまのタイでは、アプリで1回5万バーツ以上を送金するとき、その場で顔認証が求められる(2023年7月から全金融機関で義務化)。1日の合計が20万バーツを超える場合や、送金の上限額を引き上げるときも同様だ。

さらに2025年8月からは、1日の送金上限額そのものが、本人確認のレベルに応じて3段階(5万バーツまで・20万バーツまで・それ以上)に分けられるようになった。これも詐欺グループがお金を一気に動かせないようにするための仕組みだ。

ここで問題になるのが、外国人の顔認証への対応が銀行によってまちまちなことだ。僕が実際に使ってみた範囲では、こうなっている。

  • SCB銀行:アプリで顔を登録すれば、外国人でも5万バーツ以上の送金ができる
  • カシコン銀行:外国人は高額送金ができない
  • アユタヤ銀行:口座を開設した時期によって、できる人とできない人がいる

車の購入代金やコンドミニアムの契約金など、大きなお金を動かす予定がある人は、この差が効いてくる。銀行のポリシーは変わる可能性があるが、2026年時点の実感としては、高額送金のしやすさではSCB銀行が一歩リードしている。

規制が強化されたのはアプリの送金だけではない。2026年4月からは、銀行の窓口で1日500万バーツ以上の現金を引き出す場合にも、資金の用途の説明と、必要に応じた裏付け書類の提示が求められるようになった。合理的な説明ができないと、銀行は取引を一時的に止めることができる。普通に生活していてこの金額を現金で下ろすことはまずないが、不動産の決済などを現金で考えている人は、送金や小切手(線引き)を使う前提で段取りしたほうがスムーズだ。

振込は無料・即時

タイの銀行振込は無料だ。2018年に各行がいっせいに手数料を無料化して以来、この状況は変わっていない。しかも日本と違って、振込は即座に相手の口座に入金される。振込に関しては、タイは日本より進んでいると言い切っていい。

送金方法は2種類ある。

  • PromptPay(プロンプトペイ):電話番号を使って送金する仕組み。QRコード決済もこれ
  • 銀行振込:銀行名と口座番号を指定する昔ながらの方法

どちらも無料・即時入金だ。PromptPayやQRコード決済の詳しい使い方は、別記事で解説している。

なお、振込先を間違えると取り戻すのは大変だ(僕は21日かかった)。送金前の画面で、相手の名前を必ず確認しよう。

あえて1行を選ぶなら?

大手ならどこでも大きな差はない、と書いた上で、あえて1行を選ぶなら僕はSCB銀行をおすすめする。理由は3つ。

  • 支店とATMが多い
  • アプリの出来がよく、IT面で常に先行してきた
  • 前述の通り、外国人でも顔認証を登録すれば高額送金ができる

僕自身、SCB銀行をメインバンクにして長いが、困ったことはほとんどない。

一方、「日本語で相談できること」を最優先にするなら、次に紹介するアユタヤ銀行が有力だ。

銀行の日本語デスク

日本人が多いエリアの支店には、日本語が話せるスタッフを置いている銀行がある。中でもアユタヤ銀行(クルンシィ)は日本人向けサービスが手厚く、日本語デスクのある支店が4ヶ所ある。

  • エムクオーティエ支店(エムクオーティエ3階。土日も営業、日本語スタッフが毎日常駐)
  • バンコックトンソン支店(BTSプルーンチット駅近く)
  • ジェイアベニュー・トンロー支店
  • セントラルシラチャ支店

日本語コールセンター(電話 1572)もある。口座開設の細かい条件は年々変わっているので、家族の口座など難しめの相談は、こうした窓口で最新の条件を直接確認するのが確実だ。

本帰国のときはどうする?

本帰国のとき、タイの銀行口座をどうするか。

またタイに来る予定があるなら、口座はそのまま維持すればいい。残高を2,000バーツ以上にして、たまにアプリで少額を動かしておけば、維持費も休眠も避けられる。

もうタイに来ないのであれば、解約を検討しよう。通帳とATMカード(あれば)、パスポートを持って支店に行けば解約できる。面倒なら、全額を引き出して残高ゼロにしておくという手もある。

ひとつ注意。タイで社員として働いていた人は、55歳になるとタイの年金(社会保険の老齢一時金)を受け取れる。タイの口座があると受け取りが速いので、55歳が近い人は解約の前に確認しておこう(解約済みでも日本の口座で受け取れる)。

年度の途中で帰任して所得税の還付を受ける場合は、還付金の受け取り方に注意が必要だ。詳しくはタイの所得税還付金の受け取り方にまとめている。

おわりに

7年ぶりにこの記事を書き直してみて、あらためて変化の大きさに驚いた。口座開設は厳しくなり、送金には顔認証がつき、支店のない銀行まで生まれた。それでも「振込は無料で即時」「アプリで何でもできる」という便利さの土台は変わっていない。規制が強まったのも、裏を返せば、それだけ銀行がお金の安全に本気になったということだ。

タイの銀行については、この記事のほかに個別のテーマでも書いている。あわせてどうぞ。

ご意見、ご要望、「ここがわからない」などは、お気軽にコメントください。

コメント

  1. Boon より:

    口座維持費(普通口座は、預金残高が 2,000バーツ以上あれば口座維持費はかからない)については、年間を通じて月間常に2,000バーツ以上必要なのか、あるいは残高確認の基準日などはあるのでしょうか。定期を組んでいるので、普通預金の残高はいつもわずかしかありません。

    • nisizawa より:

      Boon さん、コメントありがとうございます。
      確認しましたところ、正しくは「残高が 2,000バーツ未満で、かつ取引が1年間ないと、維持費として毎月50バーツが引かれる」です。記事も修正しました。

  2. Boon より:

    nisizawaさま、ご確認頂きありがとうございました。「かつ」とございますので、取引が年間1回でもあれば、残高が2,000バーツを下っても、維持費は徴収されないと理解してよろしいでしょうか。

  3. ito より:

    1年使わなかったらロックされてしまい
    解除するのに苦労するので
    本帰国後も毎年来る予定がなければ解約したほうがいいかも

  4. MCA より:

    SCB銀行のe savingの口座はリタイアメントビザでは開けないのですか?

  5. masashi watanabe より:

    いつも楽しく拝見しています。貴重な情報ありがとうざいます。私事ですが、タイで8年ほど働いていましたが先日本帰国が決まりました。バンコク銀行とscbのeasy saving、2つの口座を持っているのですが、当面口座を維持するつもりです。日本に帰国してもモバイルバンキングで両口座間で送金すれば入出金があるとされて口座凍結は避けられるのでしょうか。
    また、スマホが壊れたり紛失などで機種変更した場合、モバイルバンキングは利用できなくなると思いますが、その場合の再登録ではワーパミが必須でしょうか?
    質問ばかりで恐縮ですが、ご教示いただけますと幸いです。

    • nisizawa より:

      そうですね、例えば半年に1回、両口座で100バーツを送金し合う、とすれば問題ないと思います。
      モバイルバンキングは、ワーパミはいらないんですが、タイの電話番号が必要ではないでしょうか。
      心配でしたら一度、タイにいるときにアプリを削除して、再登録には何が必要か、確認されることをおすすめします。
      タイの電話番号は、例えばAISのプリペイドですと、10バーツチャージすれば期限が1ヶ月延びますので、さほどお金はかけずに維持できます。

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