カシコン銀行がS&P500に連動する投資信託「K-US500X」を取扱い開始! SCB銀行との競争激化か!?

タイのカシコン銀行は、S&P500に連動する投資信託「K-US500X」の取扱いを2021年7月29日から開始します。

これまでタイの大手銀行で購入できる S&P500 連動型の投資信託は、SCB 銀行の「SCBS&P500」とその派生商品しかありませんでした。

複数の銀行が取り扱うことで、私たち一般投資家はより安い投資信託を選択できます。実際、このカシコン銀行の「K-US500X」は、SCB 銀行よりも手数料が安く設定されていますので、我々投資家にとっては大歓迎です。

この記事では、「K-US500X」の詳細をお伝えし、SCB 銀行との使い分け方について考えてみたいと思います。

目次

K-US500X の詳細

S&P 500 指数連動型の投資信託です。

  • マスターファンド:iシェアーズ S&P 500
  • 分配金:なし(再投資型)
  • 売買手数料:購入時 0%、売却時 0.15%
  • 運用手数料:0.4370% + マスターファンド0.03% = 年0.4670%
  • カシコン・アセットマネジメントの公式ページ:こちら

中長期で経済成長が期待できる米国の主要産業を代表する約500社にこれ1本で投資できますので、長期の積立投資に向いています。

現時点では SSF や RMF の設定はありません。通常の投資信託だけになっています。

タイの大手銀行が取扱う S&P500 インデックスファンドの手数料比較

手数料を比較してみました。中身はほぼ同じですので、手数料の安い方を選ぶのが投資の基本です。

運用手数料はタイの運用会社側と、マスターファンド側の手数料を合算しています。

名称 購入時 売却時 運用手数料
K-US500X 0.0% 0.15% 年0.4670%
SCBS&P500 0.5% 0.0% 年1.2145%
SCBS&P500-E 0.0% 0.107% 年0.2145%
SCBS&P500-SSF 0.0% 0.0% 年1.2145%
SCBRMS&P500 0.0% 0.0% 年0.9745%

では、S&P500 インデックスファンドを買うならどれがいいのでしょうか? 次の項で考えてみましょう。

どのS&P500 インデックスファンドを買えばいい

購入の優先順位が高い順に、次のようになると考えます。
(カッコ内は運用手数料です)

1. SCBS&P500-SSF (1.2145%) と SCBRMS&P500 (0.9745%)

この2つの運用手数料は、他の投資信託よりも約0.48~1.00% 高いのですが、購入時に所得税が 15~25% 程度返ってきますので、トータルで考えると有利です。まずは SSF/RMF の購入を優先しましょう。

2. SCBS&P500-E (0.2145%)(現在は外国人は新規申込み不可)

次にこの SCB E シリーズですが、残念なことに現在は外国人は新規申込みできません。

すでに申込みを終え、利用できている幸運な方は、限度額の100万バーツまではこの投資信託を購入しましょう。

3. K-US500X (0.4670%)

SSF/RMF を限度額まで購入し、SCB E も限度額の100万バーツに達したという投資の達人は、ぜひこの K-US500X の購入を検討してください。

4. SCBS&P500 (1.2145%)

今回の K-US500X の販売開始により、この投資信託を持つ意味はなくなりました。もしお持ちでしたら、売却して K-US500X に乗り換えることをおすすめします。

偶然にも SCBS&P500 の売却手数料はゼロ、K-US500X の購入手数料もゼロですので、乗り換えに手数料はかかりません(これがカシコン銀行の狙いだったのか!?)。

カシコン銀行が取扱う、その他のインデックスファンド

カシコン銀行が取扱う、その他のインデックスファンドを2つほどご紹介しておきます。

K-WORLDX

MSCI オール・​カントリー・ ワールド指数連動型の投資信託です。

  • マスターファンド:iシェアーズ MSCI ACWI
  • 分配金:なし(再投資型)
  • 売買手数料:購入時 0%、売却時 0.15%
  • 運用手数料:0.4819% + マスターファンド0.33% = 年0.8119%
  • カシコン・アセットマネジメントの公式ページ:こちら

日本の証券会社で取り扱っている「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などと中身は一緒です。
長期積立投資に向いていると思います。

K-ASIAX

日本を除くアジア各国の株式指数 MSCI AC Asia ex Japan Index 連動型の投資信託です。

  • マスターファンド:iシェアーズ・コアMSCIアジア(除く日本)
  • 分配金:なし(再投資型)
  • 売買手数料:購入時 0%、売却時 0.15%
  • 運用手数料:0.4370% + マスターファンド0.7% = 年1.1370%
  • カシコン・アセットマネジメントの公式ページ:こちら

カシコン銀行はこのファンドの取扱いを、K-US500X と同じく2021年7月29日から開始します。

記事作成時点での投資対象国は、多い順に中国(42.72%)、台湾(15.90%)、韓国(15.08%)、インド(11.26%)、香港(7.34%)となっています。

おまけコラム:なぜ0.1%程度の違いにそこまでこだわるの?

この記事を読んだ方は、「なぜ 0.1%程度の違いにそこまでこだわるの? 細かすぎるだろwww」と思ったかもしれません。

1回だけの買物なら1%の違いでもどうでもいいんですが、投資の場合は全然違います。なぜならその違いが複利で効いてくるからです

S&P500 の1973年から2018年までの利回りは年平均で7.1%です。これが将来も続くと仮定した場合、いま100万バーツを購入すると20年後には 1,000,000 * (1.071) ^ 20 = 3,942,660バーツと約4倍になりますが、実際にはここから運用手数料が引かれます。

SCBS&P500 (1.2145%) の場合、運用手数料を考慮すると20年後にもらえる額は 1,000,000 * (1.071-0.012145) ^ 20 = 3,138,555バーツです。

一方のK-US500X (0.4670%) の場合は、1,000,000 * (1.071-0.004670)^20 = 3,612,705バーツ。SCBS&P500との差はなんと 474,150バーツ。運用資産の15%にもなります。

この記事を読んで(読まなくてもいいですけど)、100万バーツを SCBS&P500 から K-US500X に切り替えるだけで、20年後の手取り額は47万バーツ、15%も変わってくるのです。

これがアインシュタインが「人類最大の発明」と呼んだ複利の効果であり、投資信託では手数料にこだわらなければならない理由です。

コメント

  1. hideshim より:

    いつも有益な記事ありがとうございます。
    1)SCBS&P500-Eと 2)SCBS&P500の違いは以下だけでしょうか?
    ・手数料
    ・1は上限100万バーツまで
    ・1は外国人は購入できない

    • nisizawa より:

      その理解で合ってると思います。

      細かいことを言えば、1)SCBS&P500-E は1バーツから購入できるが、2)SCBS&P500 はたしか500バーツ以上だった気がします。
      あと、SCBS&P500-E は「外国人が購入できない」のではなく、現在は外国人の新規登録を受け付けていない、ですね。すでに登録済みの人は売買可能です。

  2. JUN より:

    いつも有用な情報をありがとうございます。
    早速ですが、初日の今日、K-US500Xを買ってきました。

    カシコン銀行の支店に行って、口座開設の最初として500B買い、DCA(ドル・コスト平均法)で毎月500B買うこととしました。
    毎月購入額はもっと上を考えていますが、投資信託をDCAで買うというのが初めてなので、とりあえず少額でのスタートです。
    数か月様子を見て、想定していることと大きく違わなければ額をアップしようと。

    実は2月くらいにここでSCB銀行のSCBS&P500-Eのことを見て買おうと思っていたのですが、急ぐ必要はないとのんびりしていたら外国人は新規申込み不可となって、開いた口が塞がらないでいました。SCBS&P500-Eがいまだに新規申し込みできそうにないのは残念ですが、K-US500Xの記事を見て開きっぱなしの口がようやく塞がりましたので、また外国人への扉が閉じるようなことが起こる前に、急いで買いに行った次第です。

    • nisizawa より:

      少額から積立を始めるのはすごく良いと思います。
      いまは米国株の調子が良いので強気になっている人が多いですが、暴落や不況は必ずやってきます。そのときに積立を継続できれば成果を手に入れる可能性が高まりますが、現実にはそこで辞めてしまう人が多いです。暴落が起きても耐えられる額で続けるのが大事です。
      僕も積み立ててますので、一緒に続けましょう!

  3. ラヨーン人 より:

    いつも有益な情報ありがとうございます。
    K-US500Xではなく、RMFについて教えてください。
    現在、SCBRMS&P500とKFGTECHRMFを購入しています。
    今後はSCBRMS&P500だけを購入していきたいと考えているのですが、
    RMFを数種類購入している場合、合計で年間5000THB以上購入すればよろしいのでしょうか。
    それとも、各RMFごとに年間5000THB以上購入しなければならないのでしょうか。
    知識不足ですみません。
    教えていただけないでしょうか。
    よろしくお願いいたします。

  4. ゆさん より:

    こんにちは。K-WORLDXの0.48%ですが、0.3745+0.0246+0.0428+0.0400の合計で0.48%ではないでしょうか。K-US500Xが0.0437%なので米国株と全世界株で手数料差異を見ていました。

    • nisizawa より:

      ご質問の意味がちょっとよくわからないので、もう少しご説明いただいてもよろしいでしょうか。

    • nisizawa より:

      マスターファンドへの運用手数料は、もしかしてカシコン銀行の運用手数料に含まれているのかな?と疑念が湧いてきましたのでカシコンに確認したところ、やはり

      運用手数料:0.4819% + マスターファンド0.33% = 年0.8119%

      で合っているとの回答をもらいました。

  5. おしりくん より:

    タイの米株インデックス投資信託の多くが、為替ヘッジありだと認識していますが、為替ヘッジなしの商品ご存知ないでしょうか?

    • nisizawa より:

      それが為替ヘッジなしの商品はないんですよ。僕の見た限りでは、その投資信託も多かれ少なかれヘッジしています。

      長期の株式投資だと為替ヘッジなしが基本なんですけどね。

      • おしりくん より:

        ありがとうございます。ヘッジ率に差があれどヘッジなしは私も見つけれませんでした。

  6. kuro より:

    本記事の手数料の差による複利効果を拝見し、SSFの購入を再考しました。

    現在、SSFとしては年間60,000THBずつSCB500S&Fと、K-bankのK-CHANGE(手数料2.326%)をそれぞれ購入始めました。複利の参考例を元に計算したところ、K-CHANGEは愕然とする結果でしたので、世界投資の他の物を見つけ投資した分で中断しようかと考えています。

    代わる投資先としては
    ・KKP PGE-S-SSF(0.68%):本記事のK-WORLDXと同じマスターファンド、同じ対象で手数料のみが安い
    ・KFGBRANSSF(0.88%)
    のいずれかにて年間60,000THBを購入しようかと思います。

    • nisizawa より:

      kuro さん、コメントありがとうございます。
      KKP PGE-H-SSF ですか、これはいいですね。ただ、キアットナキン銀行がちょっとマイナーですね。どこか大手のネットバンクで購入できるといいのですが、カシコンとアユタヤ銀行を見てもありませんでした。どちらでご購入される予定ですか?

      • kuro より:

        NISHIZAWAさん

        問い合わせから直接キアットナキン銀行に申し込みを送りました。今は返事待ちです。
        また、手数料高額なK-CHANGEについては、2021年から開始し現在34,000THB支払い、+5,000THB超の利益ですので、中途解約ではなく、乗り換えができればその方法を検討しています。

        無理であれば中途解約し、新たに組むSSFに同額を投資し、所得控除の計算上は同じになるようにしようかと思っています。

        • nisizawa より:

          キアットナキン銀行なんですね。わかりました。

          同一銀行のSSF同士でしたらスイッチングできる場合もありますが、異なる銀行だとできません。幸いにしてタイはキャピタルゲイン税もありませんので(日本は20%ですが)、売却できるなら売却した方が、長期の手数料を考えるとお得になりそうですね。

          • kuro より:

            NISHIZAWAさん

            本日キアットナキン銀行で普通預金口座/SSF口座の開設をしてきました。通常貰えるはずのSSF口座用の通帳がないのと、通帳の更新をどうするかが課題ですが。
            幸い自宅の近くに支店があったので問題ありませんでしたが、HPからの問い合わせには2日経ちましたが何の音沙汰もありません(タイあるあるですが・・・)

            帰りに違約金覚悟でカシコンにより、K-CHANGEの解約を申し込みましたが
            ・10年保有の為解約できない
            ・他行のSSFでも1%の手数料で移し替えができる
            ・その為には移し先のSSFの書類が必要
            との事でした。まずは近いうちにキアットナキンに問い合わせて本当にできるのか確認してみます。

          • nisizawa より:

            kuro さん、コメントありがとうございます。

            驚きました。異なる銀行への SSF 移管ができるんですね…! できないと思い込んでいて、先日も「できない」とお伝えしてしまいました。間違った情報をお伝えしたこと、お詫びします。
            また、貴重な情報をありがとうございます。
            そうなると、RMFも異なる銀行に移管できるかもしれませんね…?

            SSFの通帳はどうなんでしょうね。僕はSSFは持っておらず、持っているのは アユタヤ銀行の SSFX と、アユタヤ銀行とSCB銀行の RMF なんですが、どれも通帳はないんですよ。電子データだけです。いまは発行しないでもいいのかもしれません。

            移管がうまくいくといいですね。また教えていただければありがたいです。

          • kuro より:

            NISHIZAWAさん

            昨日、K-BANKからキアットナキン銀行へのSSFの移管手続きが完了しましたのでご報告いたします。
            概要は以下の通りです。
            ●移管元:K-BANKのK-CHANGE(2021年2月~開設)
            ●移管先:キアットキナン銀行のK-PGE-H-SSF(2021年9月7日開設)
            ●手数料:移管資産の時価総額分×1%
            ●方法:
            ①移管先銀行にて移管手続きの書類作成を依頼
            ②移管元銀行にて①で作成された書類を渡して、移管手続き完了の書類作成。同時に移管資産の評価額×1%を現金で支払い
            ※K-BANKの場合、開設時と違う支店でも可能
            ③移管先銀行にて②の移管手続き完了の書類を渡す
            ※データ上での反映には約1週間程度必要
            ●解約後:K-BANKのSSF口座は0THB残高となりましたが、SSFの10年縛りがある為、一度解約した口座の解約は10年は不可能。維持必要(維持手数料なし)

            ◎注意点:移管元銀行で移管先のSSFに移す際に、SSFの正式名称が必要
            今回、その名称探しでかなり大変でした。データ上の「KKP PGE H-SSF」では検索できず、銀行のHPの説明書きを見ても、それでも不確かでした。ですので、私の場合1週間後のデータ反映まで油断はできません。

            とりあえず、これにて完了しましたので、ご報告となります。
            本記事の複利のお陰で色々と助かりました。ありがとうございました。

          • nisizawa より:

            kuroさん

            詳細なご連絡、どうもありがとうございます!
            これは他の人にも役に立つ貴重な情報ですね。

            移管手数料が1%かかりますが、SSFによっては運用手数料ですぐに元が取れるでしょうし、この移管は大正解だと思います。
            kuroさんの投資がうまくいくことを祈ります。

          • kuro より:

            NISHIZAWAさん

            ちなみにSSFの通帳に関してです。
            ●K-BANKの場合:K-CHANGE SSFに関してはあり
            ●SCBの場合:SCB S&P500SSFに関してはあり
            ●キアットキナンの場合:KKP PGE H-SSFに関してはなし ※恐らく全てのSSFに関してなし

  7. すすき より:

    再投資型の投信ですが、日本のように口数の増加がアプリに反映されていません。2019年に分配なしのSCBLT2を2000口買い、現在購入時に比較して約9%アップと表示されていますが、2000口のままです。日本の再投資型であれば、再投資による口数増加分も含めた口数が表示されると思うのですが、タイはどのような仕組みになっているかご存じですか?Accumulative- A と表示されないと分配もなく再投資もないというわけではないと思うのですが。

    また、RMFは合計で5000バーツ継続購入ということを初めて知りました。ありがとうございます。いままでカシコンの3種類に、scbの2種類にそれぞれ5000バーつずつ
    合計で25000バーツ購入していました。その分でSFFに投入できます。

    • nisizawa より:

      すすきさん

      再配当の仕組みが、日本とタイでは少し違うようです。

      タイの場合、例えば1口100バーツの投資信託があり、5バーツの配当があったとすると、
      ・再投資型では:配当が投資信託に組み込まれ、1口105バーツに増える
      ・分配受取型では:1口100バーツのままで、5バーツが分配される
      となると理解しています。

      日本の場合、例えば1口100円の投資信託があり、5円の配当があったとすると、
      ・再投資型では:配当された5円で自動的に再購入され、持っている口数が1.05口に増える
      ・分配受取型では:1口100円のままで、5円が分配される(これは同じ)
      ではないでしょうか。

      RMFはその通りです。

  8. たてよこ より:

    ご説明ありがとうございます。タイの仕組みですと複利の恩恵を受けているのか、なかなか実感できませんが、入金が増えるから受けているのでしょう。個人的には日本の仕組みのほうが、わかりやすくて嬉しさが大きいです。いつもブログ参考にさせていただいてます。