日本から海外に転出するとき、住民票を抜く/抜かないのメリットとデメリットは? そして新たな作戦を考えてみた

転入・転出のイメージ写真

このブログの読者さんは、日本から海外に転出した、またはこれから転出しようという方が多いでしょう。

日本から海外に転出するとき、住民票を抜くか、抜かないかはなかなか難しい問題です。

僕もずっと調べていて、やっと考えがまとまってきましたので、記事にしてみたいと思います。

ケース1:住民票を抜かずそのままにしておく

まず、「転出届を出さず、住民票をそのままにしておく」という方法があります。

これは何も手続きをしないので簡単です。

お金はかかりますが、日本の国民健康保険などのメリットを受けられます。メリット、デメリットを細かく見ていきましょう。

メリット

マイナンバーカードを持てる。これがあれば、海外でも確定申告ができますし(要カードリーダー)、日本の証券口座・FX口座・仮想通貨取引口座での取引や、NISA・iDeCoの投資も可能です。

国民健康保険に加入している。海外で治療を受けてから、帰国後に医療費を請求できる(翻訳等が必要ですし、全額をもらえるわけではありませんが)。海外での治療も高額療養費の対象になりますし、本人や家族が出産したときは、出産育児一時金(約40万円)がもらえます。

国民年金(月額16,540円)には加入を継続することになります。国民年金は利回り2%程度の悪くない金融商品ですし、本人が亡くなったときは遺族年金、寡婦年金または死亡一時金をもらえますし、加入期間中に障害者になると障害年金ももらえます。入っておくべきでしょう。

子供がいるなら子ども手当ももらえます。

デメリット

国民健康保険料、住民税の支払いが必要。特に、日本の仕事を退職してから海外に移住した場合は、前年の所得を基に翌年の国民健康保険料・住民税が算出されるため、支払いが高額になりがち。ただし日本で所得がゼロなら、翌年の国民健康保険料は年2~3万円程度、住民税は非課税。

在外選挙人名簿に登録できず、在外投票ができない。

注意点

子どもが義務教育年齢(6~16歳)の場合で、1年以上国外に出るときは転出が必要、と文部科学省のウェブサイトには書いてあります。住民票があるのに就学していないと、問題になることがあるようです。ただし、市区町村の教育課に「海外居住届」を提出すればよい、という情報もあります。

ケース2:住民票を抜く

「市区町村に転出届を出して、住民票を抜く」という方法です。これは実際にやっている人が多いですね。

住民税は払う必要がなくなり、国民健康保険からは脱退します。国民年金(月額16,540円)は任意加入もできますし、脱退することもできます。実際には任意加入している人が多いイメージです。

繰り返しになりますが、国民年金は利回り2%程度の悪くない金融商品ですし、本人が亡くなったときは遺族年金、寡婦年金または死亡一時金をもらえますし、加入期間中に障害者になると障害年金ももらえます。入っておくべきでしょう。

メリット

住民税と国民健康保険料を払う必要がなくなる。

在外選挙人名簿に登録すれば、在外投票ができる。

デメリット

マイナンバーカードがない。確定申告ができない(代理人への依頼は可)。証券やFXなどの取引ができない。国民健康保険に加入していないので、海外医療費を請求できず、高額療養費や出産育児一時金をもらえない。

ケース3:住民票をいったん抜いてから、また入れる

これはあくまでアイデアで、実践はしていないのですが、日本に実家などの住所があれば、「住民票をいったん抜いてから、まだ入れる」…という方法ができるんじゃないか、と考えています。

例えばこういうケースです。

  • 2020年:日本の仕事を辞めて、転出届を出して海外に移住
  • 2021年:海外で働く。この年の日本での所得はゼロ
  • 2022年:日本の市区町村に転入届を提出。昨年の日本での所得がゼロなので、住民税非課税、国民健康保険は7割減額される

住民票を抜かなかった場合は、2021年の住民税と国民健康保険は高額になるかもしれません。ですがこの場合は転出していますので、これらを払う必要はなくなります。

また、2022年に転入すると、日本での2021年の所得がゼロなので、住民税は非課税になり、国民健康保険は7割軽減されます。

つまり、住民票を抜く場合と抜かない場合のメリットを、両取りしようという作戦です。

国民健康保険料と軽減基準となる所得額は、市区町村により異なります。東京都世田谷区を例に挙げると、世帯所得が年33万円の場合の国民健康保険料は下の通りです。

  • 40歳未満の方:52,800円 x 7割減免 = 15,840円
  • 40~64歳の方:68,400円 x 7割減免 = 20,520円(介護保険の分が高い)

年間にかかる費用は、これ+国民年金(月額16,540円)だけです。

注意点としては、国民健康保険料の減免を受けるためには、世帯全員の確定申告(または市区町村への住民税の申告)が必要ということ。ですが現在はマイナンバーカードとカードリーダーがあれば、世界のどこからでも確定申告ができます。

ただしマイナンバーカードを入手するためには、本人が日本へ2回行く必要があります。1回目は転入届を提出し、マイナンバーカードを申請。その約3ヶ月後にもう一度行き、マイナンバーカードを受領。コロナが終わらないと難しいですね。

ちなみに、収入がなければ国民年金も減免を申請できます。脱退するよりは、減免を申請すべきですね。

さて、以上の内容は、ブログ主が自分で実行したわけではなく、調べてみただけです。実行される方はご自分でもよく調べてください。当方では責任を負えません。

書き忘れているメリット・デメリットがあれば、コメントで教えていただければ助かります。

コメント

  1. 菜種梅雨 より:

    情報助かります
    自分名義の不動産がある場合はどうなりましょうか?

    • nisizawa より:

      日本に不動産を持っている場合は、賃貸に出して収入があるかどうかにより変わりますね。
      収入がないなら:上に書いた3つのどれでも大丈夫です。確定申告も不要です。
      収入があるなら:確定申告が必要です(住民票がなくても代理申告可)。
      住民票は入れても入れなくても大丈夫です。入れた場合、
      所得が33万円以下なら、住民税非課税、国民健康保険の7割減免が受けられます。この所得は結構厳しくて、基礎控除額33万円しか控除できません。扶養控除・社会保険料控除・医療費控除などは使えませんのでご注意ください。
      所得が33万円超だと、国民健康保険料が高くなりますね。この場合は所得を計算して、住民税・国民健康保険料を計算してみてください。

  2. hidesim より:

    とってもためになる情報有難うございます。追記として書かせて下さい。
    国民年金を払い続けておけばタイ人妻との間に子供がいる場合、自分が死んだら遺族基礎年金が結構出ますよ。
    https://kurassist.jp/nenkinabc/nenkinabc-c6.html
    家族は日本に住んでなくても問題ないそうです。

    • nisizawa より:

      ありがとうございます。仰る通りですね。遺族年金と障害年金があることを追記しておきます。

      • hidesim より:

        物理的なカードを受け取るのは数か月待つようですが、この記事によると最低限欲しいものは1日で入手できる可能性がありそうです。
        https://blog.the-abroad.net/entry/mynumber-howtoget

        • nisizawa より:

          この住民票で足りるサービスならこれもありですね。

          リンク先の記事に「マイナンバーカード (1ヶ月ほどで家に届く)」とありましたが、僕の地元自治体では本人または代理人が受け取りに行く必要があります。自治体によるのかもしれません。