
Photo: Kasikorn Bank
タイのカシコン銀行が、スマホアプリをアップデートして、「カードレスATM」に対応しました。
タイのカシコーン銀行、ATMカードなしで引き出しが可能に。ATMに表示されたQRコードをスマホで読み取ると認証される仕組みのようだ。
タイでカードなしでお金がおろせるのは、昨年のSCB銀行に続き2行目。
技術的には簡単なので、すぐにタイの全銀行で実装されそうですね。https://t.co/NVooM6hKSS
— nisizawa (@nisizawa) 2018年10月10日
このツイートでは「昨年のSCB銀行に続き2行目」と書いたのですが、その後いろいろ情報をいただき調べたところ、すでに以下の5行が「カードレスATM」サービスを開始していました。お詫びして訂正させていただきます。
- SCB銀行:当ブログの紹介記事「タイ・SCB銀行のATM、カードなしで現金が引き出し可能に!」
- アユタヤ銀行(クルンシィ):銀行の公式説明ページ(英語)
- TMB銀行
- 政府貯蓄銀行(GSB)
- カシコン銀行
この調子ですと、すぐにタイの全銀行が「カードレスATM」サービスに対応しそうですね。
カードレスATMのメリット
カードレスATMにはさまざまなメリットがあります。
利用者側のメリット
- カードを発行しなければ、カード手数料が不要に(SCB銀行の場合、初回発行100バーツ、以降年200バーツ)
- カードを持ち歩かないで良い。お財布が軽くなる
- カードの取り忘れがなくなる
- カードを失くすと、再発行に手間と時間がかかるが、カードレスの場合は、もしスマホを失くしても、アプリを再インストールするだけで良い(スマホの購入代はかかりますが)
- セキュリティが向上する(後述)
カードを発行しなければ、カード手数料が不要になるのは大きなメリットですね。僕はSCB銀行を使っていますが、早速カードを解約してきました。カードの解約は、ATMカードと通帳、パスポートを持って銀行に行けばできます。
銀行側のメリット
- カードを持ち歩かない人が増えれば、紛失する人も減る → カード停止・再発行の手間が減る
- 将来的には、カードを電子化して、発行を止めるのでは。ATMからカード機能をなくして機器のコストや、カードに関する業務も削減できる
- セキュリティが向上する(後述)
- ただしデメリットとしては、カード発行手数料の収入を失うことが挙げられます
セキュリティが向上する
カードレスATMでは、以前のATMカードよりも、セキュリティが向上します。
これまでのATMカードの場合、ICチップなしのカードでは、簡単に複製でき、暗証番号を盗まれて、勝手にお金を引き出される被害が多発しました。現在はICチップ付きのカードになり、簡単には複製できなくなっていますが、それでもカードを盗まれ、暗証番号を知られたら、勝手にお金を引き出されるのは同じです。
これがカードレスATMの場合、例えばSCB銀行ですと、次の5段階でセキュリティを確保しています。
- スマホの画面ロック(パスコードまたは指紋認証)
- 銀行アプリを立ち上げたときのパスコード(6桁の番号)
- 銀行アプリで手続き後、ATMで電話番号を入力
- 銀行アプリで表示されたパスコードをATMに入力
- 銀行アプリで手続き後、15分以内に引き出さないと無効になるという時間制限
この手続きをかいくぐって不正に引き出すのは、かなり難易度が高いと思います。
カードレスATMの未来予測
今後はこうなる!という勝手な未来予測をしてみました。
現時点でカードレスATMに対応していない大手行は、バンコク銀行、クルンタイ銀行の2行のみ。2018年内に対応するのではないでしょうか。
また、カシコン銀行のみがQRコードを利用しており、他社は暗証番号を使ったシステムになっていますが、これはQRコードに移行するでしょう。
で、QRコードに移行した後に、セブンイレブンなどのコンビニ、郵便局のレジで、お金が下ろせるようになると思います。
また、各行ともセキュリティの関係で、自行のATMでしかカードレスATMサービスを許可していませんが、将来的には各行が提携し、どこのATMでもカードレスでお金を下ろせるようになるでしょう。
一方でタイは、QRコードによる電子決済も進んでおり、現金の使用比率も下がりつつありますので、最終的にはATMというのは消える運命にあるのかもしれません。
そうなると、スマホとその電池、ネットワークの重要性はますます上がりそうです。今回の北海道のように、長時間で大規模な停電があったら、大変なことになりそうですね。