タイの銀行5行が、スマホ時代の「カードレスATM」サービスを開始! 全行対応も間近か!?

Photo: Kasikorn Bank

タイのカシコン銀行が、スマホアプリをアップデートして、「カードレスATM」に対応しました。

このツイートでは「昨年のSCB銀行に続き2行目」と書いたのですが、その後いろいろ情報をいただき調べたところ、すでに以下の5行が「カードレスATM」サービスを開始していました。お詫びして訂正させていただきます。

  1. SCB銀行:当ブログの紹介記事「タイ・SCB銀行のATM、カードなしで現金が引き出し可能に!
  2. アユタヤ銀行(クルンシィ):銀行の公式説明ページ(英語)
  3. TMB銀行
  4. 政府貯蓄銀行(GSB)
  5. カシコン銀行

この調子ですと、すぐにタイの全銀行が「カードレスATM」サービスに対応しそうですね。

カードレスATMのメリット

カードレスATMにはさまざまなメリットがあります。

利用者側のメリット

  • カードを発行しなければ、カード手数料が不要に(SCB銀行の場合、初回発行100バーツ、以降年200バーツ)
  • カードを持ち歩かないで良い。お財布が軽くなる
  • カードの取り忘れがなくなる
  • カードを失くすと、再発行に手間と時間がかかるが、カードレスの場合は、もしスマホを失くしても、アプリを再インストールするだけで良い(スマホの購入代はかかりますが)
  • セキュリティが向上する(後述)

カードを発行しなければ、カード手数料が不要になるのは大きなメリットですね。僕はSCB銀行を使っていますが、早速カードを解約してきました。カードの解約は、ATMカードと通帳、パスポートを持って銀行に行けばできます。

銀行側のメリット

  • カードを持ち歩かない人が増えれば、紛失する人も減る → カード停止・再発行の手間が減る
  • 将来的には、カードを電子化して、発行を止めるのでは。ATMからカード機能をなくして機器のコストや、カードに関する業務も削減できる
  • セキュリティが向上する(後述)
  • ただしデメリットとしては、カード発行手数料の収入を失うことが挙げられます

セキュリティが向上する

カードレスATMでは、以前のATMカードよりも、セキュリティが向上します。

これまでのATMカードの場合、ICチップなしのカードでは、簡単に複製でき、暗証番号を盗まれて、勝手にお金を引き出される被害が多発しました。現在はICチップ付きのカードになり、簡単には複製できなくなっていますが、それでもカードを盗まれ、暗証番号を知られたら、勝手にお金を引き出されるのは同じです。

これがカードレスATMの場合、例えばSCB銀行ですと、次の5段階でセキュリティを確保しています。

  1. スマホの画面ロック(パスコードまたは指紋認証)
  2. 銀行アプリを立ち上げたときのパスコード(6桁の番号)
  3. 銀行アプリで手続き後、ATMで電話番号を入力
  4. 銀行アプリで表示されたパスコードをATMに入力
  5. 銀行アプリで手続き後、15分以内に引き出さないと無効になるという時間制限

この手続きをかいくぐって不正に引き出すのは、かなり難易度が高いと思います。

カードレスATMの未来予測

今後はこうなる!という勝手な未来予測をしてみました。

現時点でカードレスATMに対応していない大手行は、バンコク銀行、クルンタイ銀行の2行のみ。2018年内に対応するのではないでしょうか。

また、カシコン銀行のみがQRコードを利用しており、他社は暗証番号を使ったシステムになっていますが、これはQRコードに移行するでしょう。

で、QRコードに移行した後に、セブンイレブンなどのコンビニ、郵便局のレジで、お金が下ろせるようになると思います。

また、各行ともセキュリティの関係で、自行のATMでしかカードレスATMサービスを許可していませんが、将来的には各行が提携し、どこのATMでもカードレスでお金を下ろせるようになるでしょう。

一方でタイは、QRコードによる電子決済も進んでおり、現金の使用比率も下がりつつありますので、最終的にはATMというのは消える運命にあるのかもしれません。

そうなると、スマホとその電池、ネットワークの重要性はますます上がりそうです。今回の北海道のように、長時間で大規模な停電があったら、大変なことになりそうですね。