SCB銀行(SCBAM)は、販売手数料が無料の投資信託 e-class の取り扱いを開始しました。
この e-class は、販売手数料が無料で、信託報酬がかなり低目の投資信託です。タイの他の投資信託と比べて信託報酬が大幅に安いため、現在ではこれがベストの投資信託だと思います。
ただし、タイでお勤めの方はすでに SSF / RMF などを購入しているかもしれません。それらの節税メリットはこの e-class のメリットを上回るので、購入の優先順位は、まずは SSF / RMF、その後にこの e-class です。先に節税の投資をして、余裕があったらこちらに投資すれば良いでしょう。
この e-class の信託報酬は、日本で販売されている投資信託と同程度に安くなっています。また、日本ではキャピタルゲイン(売買差益)に約20%の税金がかかりますが、タイでは非課税です。同じ対象に投資をするなら、日本で投資するよりもタイで投資した方がリターンは大きくなります。
目次
SCB e-class の概要
- 販売手数料は無料
- 信託報酬が年間0.12%とかなり低い
- 1バーツ単位で投資可
- 購入額は最大100万バーツ(残高が100万バーツ以上になると、それ以上の購入はできないが、保有は引き続き可)
- 購入は専用アプリ SCBAM FUND CLICK(iOS / Android)を使用
- 購入・売却時は登録した口座に自動振替
公式サイト:SCB e-class
既存の投資信託と比較
既存の投資信託との比較です。信託報酬は頻繁に変更されますので、必ずウェブサイトから Fact Sheet でご確認ください。
SCBS&P500(既存) | SCBS&P500E(e-class) | |
信託報酬 | 年1.2145% | 年0.2145% |
購入手数料 | 購入額の0.50% | なし |
売却手数料 | なし | 売却額の0.107% |
購入金額 | 1バーツ~ | 1バーツ~100万バーツ |
SCBGOLD(既存) | SCBGOLDE(e-class) | |
信託報酬 | 年0.96% | 年0.52% |
購入手数料 | 購入額の0.535% | なし |
売却手数料 | なし | 売却額の0.107% |
購入金額 | 1バーツ~ | 1バーツ~100万バーツ |
特徴としては、手数料(信託報酬)が安いこと。それに尽きます。
また、日本人には直接関係がないのですが、いままではタイ人が投資信託を購入する場合は、銀行で口座開設する必要があり、初心者には敷居が高かったです。e-classですとアプリから簡単に口座が開設できますので、初めて投資信託を購入するタイ人向けの商品となっています。
SCB e-class の投資信託4選
e-class には全部で20種類の投資信託があります。ここではそこから選んだ4種類を選んで紹介します。残りの16種類については公式サイトを見てください。
ちなみに、この e-class に属する投資信託の末尾には「E」の文字が付いています。例えば金の投資信託には「SCBGOLD」と「SCBGOLDE」があり、前者は e-class ではない普通の投資信託ですので、手数料が少し高くなります。検索すると両方が出てくることがあるので、間違えないように気をつけてください。
SCBS&P500E
米国のS&P500インデックスファンド。信託報酬は年0.2145%。
日本で購入できる同じ内容の投資信託SBI・バンガード・S&P500でも信託報酬が年0.0938%です。それよりもわずかに高い程度。
S&P500は2020年8月21日に史上最高値を更新しました。過去30年間、積立をしていたとすると、その運用成績は9.89%。非常に優秀です。
タイで購入できる米国株の投資信託には、他にカシコン銀行の NASDAQ100インデックスファンド K-USXNDQ-A(A) と K-USXNDQ-A(D) があります。信託報酬は年0.7269%、前者が分配金なしの再投資型、後者が分配金ありです。
SCBNK225E
日経225インデックスファンド。信託報酬は年0.362%。
ただ日本株のリターンはいまいちですので、あまり投資する気にはなれません。
SCBSET50E
タイのSET50インデックスファンド。信託報酬は年0.11%。
SETインデックスファンドの SCBSETE もあります。こちらの信託報酬は年0.12%です。
SCBGOLDE
金の投資信託。信託報酬は年0.52%。
投資本などを読むと、よく「全資産の5~10%は金を購入するべき」と書いてあります。金が値動きが激しいので(リスクレベル8)、資産の大きな割合を投資するのは避けましょう。
SCB e-class の申込方法
タイ人ならネットで申し込めるのですが、外国人はできません。僕が実際に申し込んでみたところ、実店舗に行く必要はなく、電子メールと郵便のやり取りだけで手続きは完了しました。そのときの手続きの流れをここに書いておきますので、参考にしてください。
1. お問い合わせページのフォームから申請。題名は「Open e-class account」、文面は「I would like to open e-class account.」とでもしておけばいいでしょう。
2. 返信のメールが来て、以下の3つのファイルを送ってくれと言われます。
- Evidence of automatic direct debit(口座自動引落の確認書):こちらのページから、自動引落をする口座の銀行名をクリック。下のツイートをご参考に。
SCBアプリの場合
1 Apply direct debit を選択
2 検索欄に 9028 と打ち込んでSCBAMを呼び出す
3 Ref1にパスポート番号
Ref2に携帯電話番号を入力して確定
4コンファーム画面をスクショしたものをSCBAMに提出こんな流れです。 pic.twitter.com/mlkeIRHEbV
— sayaka🇹🇭 (@akaya00) June 13, 2020
- Copy of the saving book bank(普通口座のコピー):口座の名義がパスポートの姓名と一致している必要があります。僕はなぜか口座名義がタイ語になっていたので、銀行に行って口座名義を英語に直してから送付しました。
- Copy of your passports(パスポートのコピー+署名)
3. 上の書類をメールで送り、さらに原本を郵送する。問題がなければ希望するユーザー名をメールで聞かれた後、数日で手続き完了のメールが来る。
4. 手続き完了のメールをクリックして、パスワードを設定する。
5. アプリ SCBAM FUND CLICK(iOS / Android)を開いて、ユーザー名とパスワードを入力してログイン。
アプリは英語で使いやすく、特に問題なく使えると思います。
ちなみに購入ですが、平日の15時半までに申し込むと、15時半過ぎに口座からお金が引き落とされます。15時半過ぎの場合は翌日扱いになりますので、購入日を翌日にしてください。DCA(ドルコスト平均法、つまり積立)の設定もできます。
余談
余談ですが、いままで LTF でタイSET指数のインデックスファンドを購入していた流れで、RMF でも同じくSETインデックスファンドを購入していたのですが、今回の新型コロナの影響でタイの株価が下がり、含み損を抱えてしまいました。。。
LTF と SSFX はタイ株のみという制限があったので仕方ないのですが、いろいろな選択肢がある RMF でも、同じタイ株を選択してしまったのは失敗でした。
調べてみると、RMF でも全世界株式は KFGBRANRMF(アユタヤ銀行)や TMBGQGRMF(TMB銀行)、S&P500 は SCBRMFS&P500(SCB銀行)やTMBUS500RMF(TMB銀行)などがあるんですね。
今後はバランスを考えて購入したいと考えてます。
コメント
Eclassの投資信託と通常の投資信託は何が違うのでしょうか?
例えばSCBGOLD」と「SCBGOLDE」では何が違うのでしょうか?
ケイゴさん、「SCBGOLD」と「SCBGOLDE」比較表を追加しましたので、ご覧いただけますか。
御丁寧なご返信ありがとう御座いました
楽天証券のようにSCBカードなどクレジットカードで決済購入することはできるのでしょうか。
残念ながらできません。これは口座から引き落としのみです。
ただしアユタヤ銀行のSSF/RMFの一部商品は、アユタヤ銀行のクレジットカードで購入できます。
株取引初心者の為御教授下さい。
Nishizawa 様が当ページで記載されている信託報酬や売買手数料以外にも下記の通り
沢山の手数料らしきものがホームページに記載されております。(SCBs&p 500E)
Nishizawa 様が記載されている以外に下記コストが発生するという事なのでしょうか?
Fees Charged to Unitholders (percentage of value of units per transaction, included VAT)
Fee Details
Front-end Fee
Not exceeding 0.535% (waived)
Back-end Fee
Not exceeding 0.535% (currently charged at 0.107%)
Switch in Fee
Not exceeding 0.535% (waived)
Switch out Fee
Not exceeding 0.535% (currently charged at 0.107%)
Unit Transfer Fee
10 Baht per 1,000 units
Fees Charged to Unitholders (percentage of value of units per transaction, no VAT)
Fee Details
Brokerage Fee (All Transaction)
Not exceeding 0.75% (currently charged at 0.10%)
Fees Charged to the Fund (percentage p.a. of NAV, included VAT)
Fee Details
Management Fee
Not exceeding 2.675% (waived)
Trustee Fee
Not exceeding 0.107% (currently charged at 0.03745%)
Registrar Fee
Not exceeding 0.1605% (currently charged at 0.06527%)
Other Fee
Actual expenses
ケイゴさん、コメントありがとうございます。
この料金は、左側に書いてあるのは契約上の上限、カッコ内が実際の請求額です。
例えば
Back-end Fee
Not exceeding 0.535% (currently charged at 0.107%)
となっているのは、売却手数料の上限が 0.535% で、実際の請求額は 0.107% という意味です。
この上限まででしたら証券会社は手数料を自由に変更できます。ですが、実際には下げることはあっても、大幅にあげることはまずありません。
SCBS&P500の場合ですと、実際に請求される費用は
Back-end Fee:売却時 0.107%
Switch out Fee:買換時 0.107%
Brokerage Fee:売買手数料 0.10%
その下に書いてある信託報酬は年間で 0.03745% + 0.06527% = 0.10272% を徴収されるという意味です。他の資料では 0.12% となっていますので、多少の変動はあると思います。
ご質問がありましたらお気軽に聞いてください。
NISHIZAWA さん御返書有難う御座います。
良く理解出来ました。Twitter フォローさせていただきました^_^
度々質問すみません。
先日SCB銀行にてe-classの口座を開設致しました。例えばSCBS&P500の9月17日の購入額は20.7970 NAV/Unitとなっているのですが
SCBFUNDアプリで確認すると同銘柄はinitial purchase 1THB となっております。どのような意味なのでしょうか?1THBから購入可能なのでしょうか?私の乏しい知識ではTHB20.7970(9月17日時点)が最低購入金額かと思っていました。ご教示頂きたく存じます。
ケイゴさん
20.7970 THB/Unit = NAV(Net asset value) というのは日本語でいう基準価格のことです。
ですがこれは計算のために使う数字であり、購入は1バーツ単位で、好きな金額を購入できます。
たとえば1バーツ購入した場合は、1 / 20.7970 = 0.0480 ユニットを購入したことになります。
「THB20.7970(9月17日時点)が最低購入金額かと思っていました」というのは、株やETFと混同されているかもしれませんね。株やETFの場合は額面での売買(取引所によっては10、100株単位)になります。
ご質問は歓迎ですので、どうぞご遠慮無くどうぞ。ツイッターのフォローもありがとうございます!
Nishizawa 様。御丁寧に有難う御座います。
良くわかりました。
NIshizawa様 SCBS&P500Eは再分配型なのでしょうか?それとも分配金ありなのでしょうか?また何処を見れば自分で確認できるのでしょうか?
何から何まで質問してすみません。
目論見書などに記載があるのですが、英語では見つけられませんでした。
SCBS&P500Eのタイ語 Fact Sheet : https://www.scbam.com/medias/fund-doc/summary-prospectus/SCBSP500E_SUM.pdf などで、
タイ語では「ปันผล」で検索してみてください。
「จ่าย」とか「มี」とあれば分配金あり、
「ไม่จ่าย」とか「ไม่มี」と書いてあれば分配金なしです。
もう一つ御質問させて下さい。SCBS&P500のSSFをホームページを見ていたら見つけたのですが、こちらは米国株ですがタイの節税対策に使えるものなのでしょうか?
そうであればSCBS&P500SSFを節税の限度額を購入し余った預金をSCBS&P500Eに少しずつ積み立て投資をして行こうかと思います。アドバイス頂けると幸甚に存じます。
「SCBS&P500SSFを節税の限度額を購入し余った預金をSCBS&P500Eに少しずつ積み立て投資」というのは正解です。
記事に書いてありますが、 SSF / RMF などの節税メリットはこの e-class のメリットを上回るので、購入の優先順位は、まずは SSF / RMF、その後にこの e-class です。先に節税の投資をして、余裕があったらこちらに投資すれば良いと思います。
ただし、これらは最悪1/3の暴落があると考えて、無理のない範囲で投資しましょう。
購入額が最大百万バーツとの事ですが、1銘柄で最大百万バーツでしょうか?それとも複数銘柄購入した場合は合計で百万バーツでしょうか?
e-class口座デビューのために「1. お問い合わせページのフォームから申請」完了しました。
スムーズに手続きを進められるといいですが(汗)
わかりやすいご説明に感謝です。
松永さん、いろいろ挑戦されてますね。頑張ってください!