タイLTFの後継として発表された「SSF」の詳細解説

SSF

(引用元:Nation 紙)

タイで個人所得税を節税するために利用されてきた LTF(長期投資信託)の制度は2019年で終了し、その後継となる SSF(スーパー・セービング・ファンド)が発表されました。

この記事では、SSF の詳細、節税のための資金配分、今後の見通しなどを解説しています。

SSF の詳細

SSF は、LTF/RMF と似た、購入した金額を所得から控除できる投資信託です。

購入条件は次の通り。

  1. 購入金額の上限は、所得の30%まで。ただし上限額は20万バーツ、また SSFとRMFの合計が50万バーツ以内であること
  2. 最低保有期間は足掛け10年。つまり、2020年内に購入すると、売却できるのは2029年1月1日以降になる
  3. 購入の最低金額なし。1バーツから購入して、節税できます
  4. 毎年購入する必要なし(RMFは毎年購入する必要あり)

以前より金額が増えたのはいいんですが、最低保有期間が、いままでのLTFの7年から、10年になったのは改悪です。

現在30歳の方ですと、売却できるのは39歳以降。40歳の方は、49歳以降になります。

そして46歳以上の方は、売却できるのが55歳以降になってしまいます。それなら、上限額が緩和されたRMFを買ったほうが良いことになりますね(RMFを売却できるのは、5年保有後、かつ55歳以上)。

次の項で、節税のための資金配分を考えてみましょう。

節税のための資金配分

節税手段については以下の記事をご参照ください。

タイの個人所得税を節税する方法・手順を徹底解説。本人控除、配偶者控除、子供控除から、自分で買う必要がある生命保険、RMF、LTF、年金保険の条件、上限金額など。おすすめの節税方法も提案しています。

2019年までは、

  1. 生命保険に加入(最大10万バーツ、満期10年)
  2. まだ余裕があるならLTFを買う(7年後に売却)
  3. まだ余裕があるならRFMを買う(55歳以降に売却)
  4. まだ余裕があるなら年金保険に加入

という順をおすすめしていました。

2020年からは、LTFに代わるSSFが使いにくくなりますので、次のようになると思います。

  1. 生命保険に加入(最大10万バーツ、満期10年)
  2. まだ余裕があるなら、45歳以下ならSSFを買い(10年後に売却)、46歳以上ならRMFを買う(55歳以降に売却)
  3. まだ余裕があるならSSF/RFMを上限まで買う
  4. まだ余裕があるなら年金保険に加入

購入する SSF については、まだ銀行や証券会社から発表がされていませんので、発表後にまた追記します。

今後の見通し

この SSF の制度は、2020年~2024年の5年間実施したあとに、見直されることになっています。

僕の勝手な予想…というか願望ですが、最低保有期間が10年と長すぎるため、購入する人が少なく、2025年からは最低保有期間が短縮されるのではないでしょうか。

いずれにせよ、制度をうまく利用して、節税しておきましょう。

コメント

  1. うっきー より:

    いろいろと読ませていただいて勉強させていただいています。
    SSFですがアユタヤ銀行が取引銀行なのでアユタヤ銀行のSSFXを検討しています。
    今の状況がこうなので他国への移動もあり得そうなのですが
    他国からでも受け取りは可能なのでしょうか?

    • nisizawa より:

      うっきーさん
      「他国への移動」というのは、現在はタイにいるけど、将来的にタイにいなくなっても大丈夫ですか、という意味ですよね。
      それでしたら心配ありません。アユタヤ銀行のネットバンキングさえできるようになっていれば大丈夫です。2029年にSSFXを売却できるようになったら、ネットバンキングでSSFXを売却すれば、そのお金はアユタヤ銀行の口座に入金されます。

  2. うっきー より:

    早速のご回答ありがとうございます。
    コメント頂いた通りです。
    ほんとに今はなかなか厳しい状況ですが
    こういうことで世の中にお金を回すことも
    小さな社会貢献かな?と思っております。

  3. ケイゴ より:

    NISHIZAWA 様 SSFについてご教示頂きたく。個人所得税の確定は当該年の1月1日から12月31日までの所得について翌年の3月末の申告という認識です。
    例えば毎月5日に月1万バーツをドルコスト平均法で同じSSFを買った場合(例20年6月5日〜12月5日 合計7万バーツ)20年12月末までに購入した分の7万バーツ分が20年の所得税控除の対象となるのでしょうか?21年1月以降のSSF購入分(月1万バーツ)は21年の控除対象となるのでしょうか?

  4. ケイゴ より:

    有難う御座います!

  5. マイケル より:

    毎度ブログを拝見し勉強させて頂いております。タイ在住者には無くてはならないブログです。
    かなり細かい話ですが、最近アユタヤ銀行のウェブセミナーに参加しました。
    そこでKFGBRANSSFについての年間報酬率が1.7881%との記載がありました。
    私はてっきりFact Sheetに記載していた0.8881%だと勝手に思っておりましたが、マスターファンドへ別で0.90%もフィーを払う2階建て構造との事でした(Fact Sheet P7記載)。
    合計は1.7881%(=0.8881%+0.90%)です。
    つきましては、もしお時間があればタイのFact Sheetの読み方などをブログで取り上げて頂きますと大変嬉しく、勉強になります。
    ぜひどうぞよろしくお願い致します。

    • nisizawa より:

      マイケルさん、コメントありがとうございます。
      また、貴重な情報を教えていただき、ありがとうございます。

      これについては私も完全に間違えておりまして、同じく0.8881%だと思っていました。
      正直、Fact Sheet に書いてある0.90%が何のことかわからなかったのですが、やっと意味がわかりました。そういうことだったんですね。
      いままで間違った記載をしていたことを読者の方にお詫び申し上げなければなりません。
      教えていただいたマイケルさんには改めてお礼申し上げます。

      そんな間違いをしていた私が投資信託の手数料の解説をするのはおこがましいのですが、まずは記事で間違えて記載している手数料を修正して、その後に勉強がてら書いてみたいと思います。
      またコメントいただければ嬉しいです。

      • マイケル より:

        nisizawa様
        早速のご返信誠にありがとうございます。

        こちらも勉強を続けられればと存じます。
        毎回本当に有意義な記事を書いて頂きまして誠にありがとうございます。

        引き続きどうぞよろしくお願い致します。

  6. kuro より:

    ニシザワ様

    先日、SBIT証券に口座を開き、タイ株投資に挑戦を検討しています。
    同時に本記事について書かれているSSFについても購入を検討しております。SSFについてはアメリカ株の比率を大きくしてと思っているのですが、各銀行の取り扱いや手数料等についての記事はまだ作成されておりませんよね?
    (ニシザワさんの記事がいつも早く作成されておりますので、気になっただけです。他意はございません)

    タイ語での情報を日本語にして、広められておりますので、言語含め非常に大変だとは存じます。引き続き楽しみにしております。
    頑張って下さい。

    • nisizawa より:

      kuroさん、コメントと応援のお言葉、ありがとうございます。励みになります。
      SSFの比較の記事はないですね。
      書いても割とすぐ情報が古くなるので、「2021年のおすすめSSF」といった感じで記事を書けないか、考えてみます。ヒントありがとうございます。
      米国株式でSSFとなると、SCBのSCBS&P500-SSF一択かな、と思います。

      公式へのリンク:https://www.scbam.com/en/fund/default/fund-information/scbs-p500-ssf

  7. STB より:

    nisizawaさま

    いつも有意義な情報をありがとうございます。タイでの資産運用について、大変勉強になります。

    SSFについて質問させてください。
    現在、SSF購入を考えており、自分なりに調べてみたのですが、「所得(or年収)の30%まで。ただし上限額は20万バーツ」と「課税所得の30%、ただし上限は20万バーツ(https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/invest_04.html)」と2種類の記述を見かけました。
    所得(年収)と課税所得では額が異なり、結果、SSF購入上限も変わってくるかと思います。

    もしご存じでしたら、どちらが正しいのか、ご教示いただけますと幸いです。

    • nisizawa より:

      計算方法は、まず、収入から退職積立基金の1万バーツを超えた分と経費(10万バーツ)を引きます。これが所得です。
      SSFはこの所得の30%までです。RMFも同様です。
      所得から、RMF、SSF、生命保険、年金保険、社会保険、退職積立基金の1万バーツまでの分などを引きます。これが課税所得です。
      この課税所得に対して所得税を計算して、払いすぎていたら還付、不足なら追加で納付します。

      正確にはこのような計算になります。所得税申告用紙を見ると確認できます。

      • STB より:

        早々にご回答いただき、ありがとうございます。
        とても分かりやすく、すっきりクリアになりました。ありがとうございます。
        今後もnisizawaさんの記事を楽しみにしております。