
タイに赴任する。タイで暮らす。タイで働いてお金を貯めて、いつか日本へ帰る。この一連の流れの中で、お金の話は「そのとき」が来るたびに一つずつ現れます。銀行口座、保険、税金、投資、送金、年金、相続。どれも別々の話のようでいて、実は全部つながっています。
僕はタイに来て25年になります。このブログでは、その時々に自分で調べたり実際に手続きしたりしてきたお金の話を、テーマごとに記事にしてきました。気がつけば金融まわりの記事だけで40本を超えていて、「どこから読めばいいか分からない」状態になっていたのも事実です。
そこでこの記事です。タイ在住日本人のお金の話を、赴任から本帰国までの時間軸で1枚の地図に並べました。それぞれの詳しい話は個別記事に任せて、ここでは「いつ、何を、どの順番で考えるか」の全体像だけを示します。ブックマークして、自分のステージが変わるたびに戻ってきてもらう使い方を想定しています。
目次
1. タイ赴任・移住が決まったら——日本側の準備
タイでの生活の準備より先に、日本側の口座と制度の手当てから始めてください。理由は単純で、「出国前にしかできない手続き」がいくつもあるからです。
代表格が銀行と証券です。三菱UFJ銀行の海外赴任者向けサービスは出国前しか申し込めませんし、NISAを非課税のまま維持する「継続適用届出書」も出国前の提出が必要。証券会社によっては常任代理人を立てる段取りも要ります。辞令が出たその週に確認を始めるくらいでちょうどいいです。
→ 海外赴任中、日本の銀行口座・証券口座はどうする?【2026年版】
→ 海外赴任とNISA・iDeCo【2026年版】出国で口座はどうなる?
もう一つの大きな判断が、住民票を抜くかどうか。住民税・国民年金・健康保険のすべてに関わる、日本側の準備の分かれ道です。
2. タイで暮らすお金——生活の土台を作る
タイに着いたら、まず生活のお金の土台作りです。順番としては、銀行口座 → キャッシュレス(QR決済・クレカ) → 保険、の流れが定番です。
銀行口座は就労ビザとワークパーミットがあれば作れます。どの銀行を選ぶか、口座とアプリで何ができるかはこちらで。
まとまった残高を置くようになったら、預金がどこまで保護されるか(1人1行100万バーツ)も一度確認しておきましょう。
→ タイの預金保護は1人1行100万バーツ――対象外の預金と銀行分散の考え方
日常の支払いは、タイはQRコード決済(PromptPay)が完全に主流になりました。あわせて、タイで作れるクレジットカードも1枚持っておくと何かと便利です。
そして保険と社会保険。タイの社会保険(SSO)は会社勤めなら自動的に入りますが、実は使い方しだいでかなり頼れる制度です。医療費の高いタイでは、民間の医療保険の設計も生活の安心に直結します。
3. タイで増やすお金——タイならではの節税と投資
生活が落ち着いたら、次は「貯める・増やす」の番です。ここで大事なのは、タイにはタイの節税枠と投資の選択肢があること。日本のNISAが出国で止まっている間(1章参照)、タイで働いて納税している人にはタイ側の控除枠が使えます。
入口は所得税の控除の全体像から。RMF(退職投資信託)などの控除つき投資は、駐在期間の長い人ほど効いてきます。
→ タイの個人所得税を節税する方法と控除一覧【2026年版】
何に投資するかで言えば、タイからでもS&P500のような世界標準のインデックスに投資できます。給料がバーツで入る生活の中で、資産全体をどう配分するかの考え方はこちら。
→ K-US500X——タイからS&P500に投資する【2026年版】
4. 日本とのお金の行き来——送金と二拠点のお金の管理
タイで暮らしていても、日本とのお金のやり取りはなくなりません。日本の口座への入金、家族への送金、タイの貯金の日本への引き揚げ。
2026年時点の結論はシンプルで、個人の日タイ間送金はWiseが基本です。ただし2026年8月にタイ側の規制変更があり、タイ住所のアカウントには新しい制限がかかりました。手数料の比較から規制変更の中身まで、送金の話はこの1本にまとめてあります。
→ 日本⇔タイの海外送金はWiseが基本【2026年版】手数料比較と8月の規制変更まで
土台になる日本側の口座維持(1章のB記事)とセットで読むと、二拠点のお金の管理の全体像がつながります。
5. 出口——帰国・年金・相続
タイ生活の「出口」は、お金の話がいちばん密集する場所です。ここを雑にやると、もらえるはずのお金を取りこぼしたり、あとから税務の問題を抱えたりします。
まず全体の段取り。本帰国前後のお金の手続きは、こちらのチェックリストが地図になります。
→ タイから日本へ本帰国する前にやることリスト【お金編・2026年版】
会社を辞める時点で発生するお金——解雇補償金・退職金・未消化年休の買い取り——のもらい忘れ確認は、この一覧でどうぞ。
→ タイ退職時にもらえるお金一覧【2026年版】解雇補償金・退職金・PVD・社会保険
そして、このブログでいちばん読まれている話。タイで働いた日本人は、タイの社会保険から老齢年金(一時金)を受け取れる可能性があります。加入期間が1年以上あれば、55歳以降に申請できます。「そんな話は知らなかった」という方が本当に多い。タイで働いた経験のある方は、帰国前でも帰国後でも、一度確認してみてください。
→ タイの老齢年金——日本人も55歳からもらえます【完全解説】
タイの口座や投資をどう畳むか(あるいは残すか)も出口の大きな論点です。
→ タイの銀行口座を維持したまま本帰国する方法【2026年版】
→ タイ退職時、プロビデントファンドはすぐ受け取る?本帰国前に知る4つの選択肢
→ タイの生命保険・年金保険は「投資」としてアリか【2026年版】
帰国せずタイに住み続ける道を選ぶなら、リタイア後の滞在ビザの設計が先に来ます。
最後に相続。海外に資産を持ったまま歳を重ねると、いずれ必ず出てくるテーマです。日本の相続税の「10年ルール」と、タイ側の資産の相続手続き。元気なうちに一度読んでおくことをおすすめします。
→ 海外在住でも日本の相続税から逃れられない「10年ルール」【2026年版】
6. まとめ——「今いるステージ」から読む
最後に、この地図の使い方です。自分の今のステージの章から読み始めて、必要な個別記事に潜ってください。
- 赴任が決まった → 1章(日本側の準備。出国前限定の手続きに注意)
- タイに着いた・生活を整えたい → 2章(口座・決済・保険)
- 生活が落ち着いた・貯めたい → 3章(タイの節税枠と投資)
- 日本とのお金の行き来を整えたい → 4章(送金)
- 帰国が見えてきた・55歳が近い → 5章(帰国・年金・相続)
「駐在中にやっておくべきこと」と「帰国前にやるべきこと」は、それぞれチェックリスト記事にまとめてあります。この2本を定点観測に使うのが、いちばん実用的かもしれません。
→ タイから日本へ本帰国する前にやることリスト【お金編・2026年版】
このピラー記事は、新しい記事を書くたびに更新していきます。タイでのお金の疑問があれば、まずここに戻ってきてください。
※この記事は2026年7月時点の情報です。各制度・サービスの内容は変わることがあります。個別の記事で最新の情報を確認してください。


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