Google Flightsを開く習慣がいつか終わるかもしれない話

Google Flightsを開く習慣がいつか終わるかもしれない話

僕はけっこう旅行に行く方だと思う。特に東南アジアが多いんだけど、航空券を買うときのフローはだいたいこんな感じだ。

まずGoogle Flightsを開いて、日程と行き先を入れて価格を比較する。候補が絞れたら、表示される代理店一覧を見て、最安値に近い価格で「信頼できる」サイトから買う。Agoda、Expedia、航空会社の公式サイト、あとTravelokaあたり。

たぶん、旅行好きな人の多くが似たようなことをしてると思う。

このフロー、もう何年もずっとこれだ。スマホで検索して、比較して、ポチッと買う。特に不満もない。でも最近、ふと思うことがある。この「当たり前の流れ」って、いつまで続くんだろう。

Expediaが自分で認めちゃった話

先週、Expediaの決算発表があった。業績はめちゃくちゃ良かったらしい。売上も利益も市場の予想を超えてた。

なのに、株価がけっこう下がった。

なんでかっていうと、Expedia自身が「AIが自分たちの脅威になる」って公式に認めちゃったからだ。年次報告書に「新興のAIプラットフォーム」がリスクだって初めて書いたらしい。

これ、けっこうすごいことだと思う。だって、今まさに好調な会社が「でも将来はやばいかもしれません」って自分で言ってるわけだから。

Expediaだけじゃなくて、HiltonやMarriottも同じ時期にChatGPTを名指しでリスクだって言ってるし、旅行業界全体が「あ、これまずいかも」って空気になってるみたいだ。

僕たちの予約フローって、実はけっこう脆い

改めて自分の予約フローを見てみると、こうなってる。

自分 → Google Flights → 代理店一覧 → 選んで予約

で、ここでちょっと考えてみると、ExpediaとかAgodaの役割って実は「最後のワンクリック」でしかないんだよね。価格の比較はGoogleがやってくれてるし、正直なところ「Expediaでもagodaでも、安ければどっちでもいい」って思ってる自分がいる。

つまり、OTAって呼ばれてる旅行予約サイトって、もうすでにけっこう弱い立場にいるんだなって気づいた。

で、AIが変えようとしてるのは、その「Google Flights」の部分だ。

自分 → ChatGPTに聞く → AIが最適な選択肢を出してくれる → そのまま予約

こうなったら、Google Flightsすらいらなくなる。もちろんOTAのサイトに自分でアクセスすることもなくなる。全部AIが裏側でやってくれて、僕はただ「いいね、それで」って言うだけ。

ChatGPTで航空券を探してみた感想

実は最近、試しにChatGPTに「3月に東南アジアで5日間、予算15万円くらいで」って聞いてみたことがある。

返ってきた旅程案は、正直けっこういい感じだった。行き先の提案、ホテルの候補、大まかなスケジュール。「おお、なかなかやるじゃん」って思った。

でもね、肝心の航空券の価格がちょっと怪しかった。Google Flightsで同じ路線を調べると、AIが言ってた金額と微妙にずれてる。リアルタイムの価格データにまだ完全にはアクセスできてないんだろうなって感じた。

あともう一つ、AIにはまだ難しいなって思ったのが「経験からくる勘」みたいなもの。「この代理店はトラブルのとき対応が遅い」とか「この航空会社、時間通りに飛んだことない」みたいな、何回も使ってきたからこそわかる感覚。これはまだAIには無理だと思う。

でも逆に言えば、足りないのはそこくらいなんだよね。価格データの精度が上がって、ユーザーの好みを学習するようになったら、もう普通にAIに任せちゃう人がどんどん出てくるんじゃないかな。

「見えないパイプ」になる未来

Expediaのトップが面白いことを言ってた。AIによって旅行サイトが「見えないパイプ(invisible pipes)」になるかもしれない、って。

これ、すごくイメージしやすい。水道の蛇口をひねれば水が出てくるけど、その裏の配管なんて誰も気にしない。旅行予約サイトがそういう存在になるってことだ。

「ChatGPTさん、来月バンコク行きたいんだけど」って聞いたら、裏側ではExpediaのシステムが動いて、航空券が予約されて、確認メールが届く。でも僕はExpediaのサイトを一度も開いてない。Expediaのロゴすら見てない。

たぶん、そういう世界がもうすぐ来る。

面白いのは、Expedia自身がその流れに乗ろうとしてることだ。ChatGPTやPerplexityと提携して、AIの「裏方」としてのポジションを取りに行ってる。敵になるか味方になるかわからない相手と手を組むって、なかなか複雑な判断だと思う。

旅行の「入口」が変わるということ

考えてみれば、旅行の予約方法って何度も変わってきた。

昔は旅行代理店の窓口に行ってた。それがネットになって、比較サイトになって、Google Flightsになった。そのたびに「入口」が変わって、前の入口は存在感を失っていった。

次の入口がAIになるのは、たぶん自然な流れなんだと思う。

ただ、今回ちょっと違うなと思うのは、AIは「入口」だけじゃなくて「コンシェルジュ」にもなれるってことだ。今までの比較サイトは「はい、選択肢です、自分で選んでね」だった。AIは「あなたの好みだとこれがいいと思うよ、理由はこうだから」って言ってくれる。

それって、昔の旅行代理店の窓口のお姉さんがやってくれてたことに、ちょっと近い気がする。テクノロジーがぐるっと一周して、パーソナルな提案に戻ってきてるっていうか。

たぶん、しばらくは変わらない

とはいえ、僕自身はしばらくGoogle Flightsを使い続けると思う。

理由は単純で、慣れてるから。Google Flightsの画面を見れば、パッと相場感がわかる。カレンダー表示で一番安い日が一目でわかる。あの感覚は、まだAIのチャット形式では再現できてない。

でも、ChatGPTの旅行検索がもうちょっと賢くなって、リアルタイムの価格もちゃんと出るようになったら?自分の過去の旅行パターンを覚えてくれて、「前回バンコクで泊まったあのホテル、今度はこっちの方が安いよ」とか言ってくれるようになったら?

正直、そうなったら乗り換えちゃうかもしれない。

そしてたぶん、それは1年後とか2年後の話で、10年後の話じゃないと思う。

Google Flightsを開くっていう、今の僕にとっての「当たり前」が、いつの間にか「昔はそうだったよね」に変わる日が来る。その日は、思ったより近いのかもしれない。