タイのドンキホーテ1号店が開業! 開業1週間後に見えてきた良い点と悪い点

(ドンドンドンキ タイ1号店)

(ドンドンドンキ タイ1号店)

ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は2019年2月22日、バンコクのエカマイで「DON DON DONKI(ドンドンドンキ)」を開業しました

運営はPPIHとタイ塗料最大手のTOAグループ、日本駐車場開発タイ法人の合弁会社が担うとのことです。

ターゲットの客層は、日本への旅行に興味があるタイ人、バンコク周辺に住むタイ人・外国人でしょうか。今後は『海外店舗を現在の41店から200店まで拡大する方針』(日経新聞2019年2月20日記事)だそうですので、バンコク周辺でも店舗を増やすと思われます。

この記事では、ドンドンドンキの開業1週間後の様子と、僕が感じた良い点、悪い点について書きたいと思います。

目次

開業日は大人気!

ドンドンドンキの開業日。僕は行っていませんが、大勢のお客さんが訪れ、行列ができる賑わいだったそうです。

開業から1週間後の様子

開業から約1週間が経った3月2日にドンドンドンキに行ってみました。

現在はソフトオープンで、ドンドンドンキは開業していますが、上階のレストランは内装工事をしていました。

(ドンキモール上階にあるレストラン。内装工事中)

(ドンキモール上階にあるレストラン。内装工事中)

開業から1週間がたち、ドンキモールの良い点、悪い点が見えてきましたので、まとめてみたいと思います。

ドンドンドンキの良い点

日系スーパーの競争激化!

いままでバンコクの日系スーパーと言えば「フジスーパー」の独壇場でした。開業したドンドンドンキにも生鮮食料品や調味料の売場があり、日本の食料を買うことができます。

これを機会に、フジスーパーとドンドンドンキで価格や品揃えの競争が始まれば、バンコクに住む日本人は恩恵を受けることでしょう。消費者にとっては嬉しいことです。

レジはすべての支払手段に対応!

(ドンドンドンキのレジ。タイにあるほぼ全ての決済手段に対応)

(ドンドンドンキのレジ。タイにあるほぼ全ての決済手段に対応)

ドンドンドンキのレジは、タイにあるほぼ全ての決済手段に対応しています

また、1バーツ以下の25サタン、50サタンは切り捨てになるそうです。お客にとっては嬉しい値引きですし、店側にとっても小銭を用意し、受け渡しする手間が省けて得ということでしょう。

品揃えは独自の流通網?

「ドンキはひた隠しにしているが、独自の流通網を構築するのに成功しているようだ」とある日系企業関係者は言う。その流通網の全容は明らかではないが、生鮮食品は農家から直接買い付け、船で大量輸送しても鮮度が落ちないような工夫を導入しているようだ。ドンキはそのノウハウをタイにも持ち込んだ。「商品が他の日系百貨店よりも安い」。実際に店舗を訪れた消費者は語る。

(引用元:日経ビジネスの2019年2月20日付記事)

独自の流通網で安い商品を提供してくれるならは大歓迎ですね。

翻訳部隊あり!?

(店内の看板。日・タイ・英の三ヶ国語に翻訳されている)

(店内の看板。日・タイ・英の三ヶ国語に翻訳されている)

ドンドンドンキの店内は手書きのPOPで溢れています。驚いたことに、ほとんどが日・タイ・英の三ヶ国語に翻訳されているんですよね。おそらく社内に優秀な翻訳部隊を抱えているのでしょう。多言語でコミュニケーションを取ろうという強い意志を感じます。

では、僕が感じたドンドンドンキの悪い点も挙げてみましょう。

ドンドンドンキの悪い点

日本人社員が多すぎる! しかも日本人が補充作業!!

ドンドンドンキの店内では、たくさんの日本人社員が働いているのを見かけました。

僕が驚いたのは、その人たちが商品の補充をしていたことです。日本人社員だと安く見積もっても月30万円はかかります。それが月給3~4万円程度の現地社員でもできる補充作業をするというのは経営的にはありえません。日本人は現地社員を教育して、現地社員に作業をさせるべきなんですよね。

日本人とタイ人のコミュニケーションは?

僕が見ているときは、日本人は黙って補充しているだけで、現地社員とコミュニケーションを取っているようには見えませんでした。もしかすると他のときにきちんとやっているのかもしれませんが。

これは、タイ進出の日系企業がやってはいけない典型例ですね。上の日本人社員が多すぎる件と言い、社内に海外進出のノウハウがないのかな?と思いました。

地獄の渋滞!場所が悪すぎる!

バンコクはクルマ社会で、どれだけクルマでスムーズに移動できるかが、商業施設が成功するかどうかの重要なポイントです。

ドンキモールは、トンロー通りとエカマイ通りを結ぶ、ソイ・エカマイ5通りの角にあります。

この場所って、BTSの駅から遠すぎて歩けないし、大渋滞するので、車で行くのも大変です。しかも車で行く場合は、トンロー側から来ると入れないので、エカマイ側に迂回しないといけません。

なんでこんな場所に出店したんでしょうね?

24時間営業なので、渋滞していない深夜・早朝に行けばいいのかもしれませんが、僕が朝7時に行ったときは、お惣菜や刺身が全然ありませんでした。

(ドンドンドンキ店内 お惣菜は空っぽ!)

(ドンドンドンキ店内 朝7時は全然お惣菜がない!)

決して「激安」ではない価格

価格を見てみましたが、他店やネットと比べて激安という商品はそれほどないようです。

いまはネット等も発達してるので、安く買おうと思えばドンキモールよりも安いところもあるでしょう。

タイでは、「激安」よりも、面白い店舗、意外性のある品揃え、モール内にある珍しいレストラン、利便性などが、総合的に評価されるのかなと思いました。

寒い!

(店内は寒すぎてガラスに結露!上着は必須!)

(店内は寒すぎてガラスに結露!上着は必須!)

店内はエアコンが効きすぎて寒かったです。冷えすぎてガラスが結露していました。

商品の鮮度を保つためなのかもしれませんが、やりすぎです。

ドンキモールの将来は?

上に挙げた問題点を解決できれば、バンコク都内でのチェーン展開に成功し、アジアに一大流通網を構築して、大成功するかもしれません。

でも、1号店の状況を見た限りでは、まだ海外進出のノウハウが全くない状態でしたので、かなり難しいと思うんですよね。

タイに進出した企業は、進出当時こそニュースに出て華やかですが、その一方で人知れず消えて行った企業もたくさんあります。

例えば丸亀製麺は、2011年に不動産会社との合弁でタイに進出。最盛期には店舗数を30店舗近くまで増やしましたが、2017年まで7年連続で赤字を計上しています。

タイの丸亀製麺についてツイッターでつぶやいたところ、意外に反響が大きかったので、少し調べてみました。売上高、利益等については、タイの商務...

個人的には、丸亀製麺がタイで失敗した理由は、タイの地場企業に任せっきりにしたこと、目標ありきの海外展開、日本のやり方の押しつけ、などだと思います。

ドンキホーテも、海外進出のノウハウを貯めずに、『海外店舗を現在の41店から200店まで拡大する方針』(日経新聞2019年2月20日記事)を優先すると、同じ轍にハマる可能性があると思います。

ドンキホーテがタイで成功するか、それとも失敗するか、答えは5年後に出ることでしょう。

コメント

  1. ユウキ より:

    確かに商品の補充をしている方は日本人の方が多いですね。
    探している商品があったので社員と思われる日本人の方に話しかけてみましたが、そのときに売り場で商品の補充をしているのはドンキの社員ではなくメーカーの社員さんでした。
    日本の小売店では上得意の取引先にメーカーの社員が棚整理や商品の補充に来ることがありますがまさにそれでした。ですので、それも含めて日本人の社員が多く見えたのかもしれませんね。

    • nisizawa より:

      なるほど、メーカーの社員さんでしたか。それで日本人が多いように見えたのかもしれませんね。
      この派遣、タイでも大手スーパーでは同じような光景を見かけますが、日本では独禁法違反として課徴金の納付を命じられる場合もあり、これはこれで問題かもしれませんね。

      参考:弁護士ドットコム
      https://www.bengo4.com/c_1015/n_600/
      『新規出店や改装オープンの際に、納入業者の従業員を無償で派遣させて商品の陳列をさせていたというのですから、営業していない時の作業などが客観的に見て納入業者の販売促進とは関係ないものと評価され、独禁法に違反するとされたのでしょう』