世界的に人気が高まっているクラフトビール。
タイにおけるクラフトビールは、最初は数少ない店で飲めるだけでしたが、だんだんと提供する店が増え、現在は多くの店で飲めるようになりました。また、タイ人が醸造するクラフトビールも続々と登場しています。
この記事では、タイのクラフトビール事情をまとめました。
目次
タイのクラフトビール
欧米各国や日本に比べると、まだ始まったばかりのタイのクラフトビールですが、現在は約70種のビールが販売されています。そのうちのいくつかをご紹介しましょう。
Mahanakhon White Ale
ベルギー風の白ビールです。Tops, Villa, Foodland などのスーパーにも置いてありますので、試したい方はぜひどうぞ。
マハナコンとはタイ語で「大都会」という意味です。よく見ると、広告の場所は東京・渋谷のスクランブル交差点ですね。
Asoke Pale Ale
スクムビット26にある「Changwon Express」(地図リンク )というビアガーデンが醸造するペールエール。タイ初の缶入りクラフトビールです。
アソークと命名したのはレストランから近いからでしょうか?
FULL MOON BUSSABA EX WEISSE
美しいラベルが目立つこのビールは、オーストラリア・インターナショナル・ビア・アワードで、最優秀白ビール賞と最優秀デザイン賞を獲得したそうです。プーケットの醸造所「Full Moon Brewbery」製。
LAMZING STICKY MANGO
タイを代表する果物、マンゴー&ココナツ味という変わり種のクラフトビールです。タイに来たら飲んでみたい1品です。
A GO-GO IPA
バナナの香りがするIPAビール。命名が謎ですが、ゴーゴーバーで販売しているんでしょうか 笑
タイのクラフトビール名鑑
下の記事(タイ語)では、「2017年度 タイ国籍クラフトビール名鑑」として、20社以上のクラフトビールメーカーを紹介しています。
クラフトビールのネット通販サイト
下のウェブサイト(英語・タイ語)では、タイでクラフトビールのネット通販をしています。各国のビール、サイダー、ワイン、ウイスキー等を取り扱っています。
タイでクラフトビールが飲める店が増加中!
次の記事(タイ語)では、バンコク周辺でクラフトビールが飲める店40軒を紹介しています。
その記事には、バンコク周辺でクラフトビールが飲める店の地図が掲載されています。
店舗の場所がすぐにわかって便利ですので、クラフトビール好きな方は活用してください。
バンコクのビールバー「Bottles Of Beer」を紹介する Weekender@Bangkok さんの記事へのリンク。この方のブログでは、他にも多数のビールバーを紹介されています。
クレット島にクラフトビールの学校がある!
バンコクから約1時間で行ける、ノンタブリー県クレット島。チャオプラヤー川の中洲にあるこの島には、クラフトビールの有名店「Chit Beer」があり、さまざまな種類のクラフトビールを安価に飲むことができます。
詳細は、「激旨!タイ食堂」さんの記事「
」をご参照ください。この「Chit Beer」、クラフトビールが飲めるだけではなく、クラフトビールの醸造方法も教えています。ここで作り方を学び、クラフトビールの醸造・販売を始めるタイ人起業家もいるそうです。
バンコクから日帰りで行けるクレット島。クラフトビール好きな方は、週末にふらっと訪ねてみてはいかがでしょうか。
訳ありのタイのクラフトビール事情
タイのクラフトビールはなぜ高い?
クラフトビールは、職人が高品質のビールを少量生産するため、価格は高くなりがち。それでも、タイのクラフトビールの価格はかなり高めです。
値段が高くなっている理由のひとつは、タイ国外で醸造し、国外からタイに輸入して、最高60%の輸入関税を払っているためです。
なぜ国内で生産せず、わざわざ輸入して関税を払っているのでしょうか?
タイの酒類法による制限
わざわざ国外で生産しているのには訳があります。
タイの酒類法では、ビールを醸造できる工場を次の2種類と定めています。
- 大規模醸造所:年間製造量1,000万リットル以上
- 小規模醸造所:年間製造量10万リットル以上。醸造所で飲まなければならず、瓶詰めは不可。有名ビアホール「タワンデーン 」はこれに該当。
両方とも、必要最低資本金は1,000万バーツ(=約3,000万円)です。
上で示したタイ酒類法は、そもそもクラフトビールを想定していません。クラフトビールは、職人がひとりで、自宅で作ることもある、極めて小規模な仕事ですので、タイの酒類法が定める、工場と資本金の条件を満たすことは困難です。
そのため、タイの醸造者が、規制のゆるいタイの周辺国(カンボジア・ベトナムなど)に醸造所を置き、製造したクラフトビールをタイに輸入することがあります。この場合は、輸入時に最大60%の関税が課せられるため、小売価格が高くなっているのです。
タイ国内で醸造している場合は、醸造所を共同運営する、大手醸造者に間借り・委託するなどして、規制を逃れているそうです。
今後の動向
現在のタイの酒類法は、そもそもクラフトビールというものを想定していないため、クラフトビール業者はタイでは酒類法の条件を満たせず、条件の緩い近隣国に投資しています。これは、本来であればタイに投資されたお金ですから、国益に反しており、酒類法を改正すべき、という意見があります。
2017年には change.org で、「タイのクラフトビール合法化を求める署名活動 」が行われましたが、目標の1万人に対して署名数は9,161人とわずかに足りず、失敗に終わりました。
しかし上~中流階級のタイ人を先頭にして、タイ国内でクラフトビールを認めるべきという声は高まりつつありますので、そう遠くない日に、酒類法が改正され、タイ国内でクラフトビールの醸造ができるようになると期待しましょう。