
タイで暮らしていると、バンコク銀行やカシコン銀行、SCBといった大手の名前はすぐ覚えますが、「キアットナーキン銀行」はどうでしょう。街で支店を見かけることも少なく、名前だけ目にして「どんな銀行?」となる方が多いと思います。
日本語で読める情報がほとんどないので、この機会にまとめておきます。
1. キアットナーキン銀行はどんな銀行か
正式名はキアットナーキン・パトラ銀行(Kiatnakin Phatra Bank、略称KKP)。タイ証券取引所に上場する商業銀行です。
歩みをざっくり並べると、こんな流れです。
- 1971年にファイナンス会社として創業
- 1997年のアジア通貨危機で一時営業停止に追い込まれるも再建
- 2005年に商業銀行に昇格
- 2012年に証券大手のパトラ(Phatra)グループと経営統合
- 2020年8月に行名を現在の「キアットナーキン・パトラ銀行」に変更(公式リリース(英語))
支店は50店舗ほど。バンコク銀行やカシコン銀行が数百〜千店規模で支店網を張っているのと比べると、規模はぐっと小さい中堅行です。
その代わり事業には特色があって、柱は自動車ローンと、パトラ証券譲りの富裕層向け資産運用・投資銀行業務。「支店網で個人客を広く集める」のではなく、得意分野に絞ったビジネスをしている銀行です。
2. 看板商品はスマホ預金アプリ「Dime!」 普通預金で年3%
在タイの日本人にとっていちばん関係がありそうなのが、KKP傘下のスマホ金融アプリ「Dime!(ダイム)」です。
- Dime! Save:普通預金で最大年3.00%(2026年7月14日改定時点)
- Dime! FCD:外貨預金で最大年4.5%、最低残高なし
タイの大手行の普通預金が年0.25〜0.5%程度ということを考えると、普通預金で3%はかなり目を引く数字です。支店網を持たない分、金利で預金を集めるネット銀行的な戦略ですね。日本でいうと、店舗の少ない銀行が高金利のネット定期で預金を集めるのと似た構図です。
ただし残念なお知らせがあります。Dime!の口座開設はスマホでの本人確認(e-KYC)で完結する仕組みで、タイ国民のIDカードが前提になっています。外国人である私たち日本人が開設するのは、基本的に難しいと考えたほうがよさそうです(公式サイトにも外国人向けの開設案内は見当たりません)。
3. 銀行としての安全性は?
「聞いたことがない銀行」と聞くと不安になりますが、KKPはタイ中央銀行の免許を持つ商業銀行なので、大手行と同じく預金保護機構(DPA)の保護対象です。万一破綻しても、1人1行あたり100万バーツ(500万円弱)までの預金は保護されます。タイの預金保護のしくみは別記事で詳しく書いています。
業績面では、2026年に入って株価が3ヶ月で3割以上上昇し、会社側も2026年の収益目標を上方修正するなど、調子の良い時期にあります(Kaohoon International の報道(英語))。
4. 在タイ日本人との接点はあるか
正直なところ、日本人がこの銀行と付き合う場面はあまり多くありません。
- 日本人向けのサービスや日本語対応は特にない
- 支店が少なく、生活口座として使うには不便
- 魅力の高金利アプリDime!は外国人には事実上使えない
生活用の口座は大手行で作り、キアットナーキンは「タイにはこういう特色ある中堅銀行もある」と知っておく、というのが現実的な距離感だと思います。タイの銀行全体の使い分けはタイの銀行 完全解説にまとめています。
まとめ
- キアットナーキン・パトラ銀行(KKP)は、自動車ローンと富裕層向け資産運用に特化したタイの中堅上場銀行
- 傘下の預金アプリDime!は普通預金で年3%と高金利。ただし開設はタイ国民ID前提で、外国人には基本的に開かれていない
- 中堅でも預金保護の扱いは大手行と同じ(1人1行100万バーツまで)
名前を見かけて気になっていた方の参考になればうれしいです。

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