タイ中央銀行博物館に行ってきた ~川沿いで、図書室・喫茶店もある憩いの場~

(タイ中央銀行ラーニングセンター)

(タイ中央銀行ラーニングセンター)

バンコクの東部、ラーマ8世橋のたもとに、タイ中央銀行ラーニングセンターがあります。

いまから約50年前の1969年6月24日、タイ中央銀行の造幣局はここに創設されました。造幣局はタイの全紙幣を印刷していましたが、タイ経済の発展と共に手狭になったため、2007年10月15日に、バンコクの西側にあるナコンパトム県へ移転しています。

造幣局は現在、当時の建物の一部を残したまま、タイ中央銀行のラーニングセンターになってまして、館内には博物館、図書館、喫茶店、ミュージアムショップなどがあります

2019年9月に、このタイ中央銀行博物館に行ってきましたので、その様子をご紹介したいと思います。博物館が所蔵するタイの硬貨・紙幣のコレクションはタイ最高級。興味がある方は、ぜひ行ってみて下さい。

ちなみに、名称は Bank of Thailand = タイ銀行ですが、新聞記事などを見るとタイ銀行、タイ中央銀行のどちらも使われているようですので、この記事ではタイ中央銀行としました。

目次

タイ中央銀行博物館

(チャオプラヤー川に架かるラーマ8世橋とタイ国旗)

(チャオプラヤー川に架かるラーマ8世橋とタイ国旗)

場所と行き方

博物館はバンコク・チャオプラヤー川の東岸、ラーマ8世橋のたもとにあります。

Google Map の地図です。

行き方ですが、博物館の付近には BTS/MRT は通っていませんので、チャオプラヤー川のボートか、バス・タクシー・自家用車で行くことになります。

こちらは公式サイトの地図。

(引用元:タイ銀行公式サイト 博物館の地図)

(引用元:タイ銀行公式サイト 博物館の地図)

ラーマ8世船着き場が近そうです。

博物館には駐車場もあります。館内で4時間無料のスタンプがもらえて、それを過ぎると20バーツ/時間です。駐車場に入るときに身分証の提示を求められました。

営業時間

(タイ中央銀行ラーニングセンターにある喫茶店)

(タイ中央銀行ラーニングセンターにある喫茶店)

  • 図書館 9:30 – 20:00(月・祝休み)
  • 博物館 9:30 – 16:30(月・祝休み)
  • 喫茶店 9:00 – 19:00(Google Map に書いてあった時間なので、間違っているかも)

土日も空いているのは、タイで働いている人には嬉しいですね。また、館内にはミュージアムショップもあり、手ごろなお土産が買えるそうです。僕はわからなかったので、次は寄らねば…と思ってます。

見学ツアー

(タイ中央銀行博物館 地下2階で説明を受けているところ)

(タイ中央銀行博物館 地下2階で説明を受けているところ)

博物館は自分で歩いて見ることもできますし、無料の見学ツアーに参加することもできます。公式サイトによると、見学ツアーは 10:30, 14:00, 15:00, 16:00 の4回で、所要時間は1時間半。タイ中央銀行の職員が交代しながら説明してくれます。

ただしタイ語での案内ですので、タイ語に不慣れな方は、ツアーには参加せずに、次項で説明する博物館の案内アプリを使いつつ、自分で見学したほうがよさそうです。

僕は行ったときは、ちょうど 14:00 の回が始まるところでしたので、ツアーに参加させてもらいました。

案内アプリ

この博物館には英語・タイ語の案内アプリがあります。自分で回るときはこれを使うといいでしょう。見学ツアーに参加したときはこのアプリを使う暇はありませんでした。

BOT-Museum

BOT-Museum
開発元:Bank of Thailand
無料
posted withアプリーチ

でも博物館のためにこんなアプリまで作ってしまうとは、予算が潤沢すぎますね。というか中央銀行だけに、お金はいくらでも刷れるんでしょうか? <冗談です

博物館の全体図

(引用元:タイ銀行公式サイト 博物館の館内図)

(引用元:タイ銀行公式サイト 博物館の館内図)

博物館は地上2階、地下2階の計4階からなっており、最深部はチャオプラヤー川の水深12mに位置するそうです。いまから50年前に、地盤の柔らかいチャオプラヤー川のすぐ横を12mも掘るのは、さぞや難工事だったでしょうね。

見学ツアーの順に各階の内容を簡単に紹介すると、以下のようになっています。

  • 2階:かつての紙幣印刷所。当時の機械を展示
  • 地下2階:古代の貨幣、アユタヤ朝~トンブリー朝の貨幣
  • 地下1階:チャクリー王朝、タイ政府の貨幣
  • 1階:タイ中央銀行の歴史、役割

博物館の館内

僕はツアーに参加して、博物館を見学しました。写真撮影は可能ですが、フラッシュは不可です

下の写真は2階の旧印刷所。当時は18台の機械があったそうですが、現在は3台だけが展示されています。

(引用元:タイ銀行公式サイト 旧印刷所)

(引用元:タイ銀行公式サイト 旧印刷所)

旧式のドイツ製印刷機、板張りの床、天井の大型クレーンに、当時の工場の雰囲気を感じました。たぶん壁は壊して明かり採りの窓にしたのだと思います。

(タイ中央銀行博物館 地上2階にあるドイツ製の機械)

(タイ中央銀行博物館 地上2階)

↑展示されていた機械。ドイツ製でした。

(タイ中央銀行博物館 地上2階で映画を見ているとこ)

(タイ中央銀行博物館 地上2階)

↑見学の途中では、短い映画を何本も見せてくれます。これも予算があるなぁと思いました。

(タイ中央銀行博物館 地上1階)

(タイ中央銀行博物館 地上1階)

↑当時の金庫扉がそのまま残っています。厚さ90cm、重さ 3t と言っていた気がします。これを正面からぶち破るのはミッション・インポッシブル。

(タイ中央銀行博物館 地上1階)

(タイ中央銀行博物館 地上1階)

↑金庫扉の中は金庫室になっていて、紙幣が保管されています。これ1山で、1,000バーツ札 x 40枚 x 4,000枚 = 1億6,000万バーツ? 多すぎてよくわかりませんが、こんなにあるならお土産に2~3枚もらいたいものです。

(タイ中央銀行博物館 地下1階)

(タイ中央銀行博物館 地下1階)

↑この博物館の貨幣のコレクションは素晴らしいものでした。これはランサーン王朝で14~18世紀に使われていた舟形貨幣

普通は銀の貨幣って酸化して黒ずんでしまうものですが、ここでは専門家が洗浄しているので、常に銀の輝きを保っているそうです。

(タイ中央銀行博物館 地下1階)

(タイ中央銀行博物館 地下1階)

↑タイの北部チェンマイ付近にかつて存在したラーンナー王朝で使われたチェン貨幣。銀製です。アンティークショップなどで売っていることもありますが、大体はニセモノです。

チェン貨幣については下記の記事参照。

英語 :Chiang money, Jiang money または Kakim money タイ語:เงินเจียง または เงินขาคีม ソース  เงินเจียง 材質は銀、ラーンナー王朝で使用された。1世紀以上の長期に渡って一定の外形を保ち、タイ王...
(タイ中央銀行博物館 地下1階)

(タイ中央銀行博物館 地下1階)

こちらは弾丸貨幣といって、かつてのタイ王国、スコータイ王朝からアユタヤ王朝、チャクリー王朝まで、約600年の長期にわたり流通した貨幣。火縄銃の弾丸に似ているので弾丸貨幣と呼ばれています。

弾丸貨幣については下記の記事参照。

ソース  พดด้วง - wikipedia (弾丸硬貨 - タイ中央銀行のウェブサイトより) 弾丸硬貨 とは、かつてのタイ王国において、スコータイ王朝からアユタヤ王朝、チャクリー王朝まで、約600年の長期にわたり流通した貨幣である。貨幣価値に見合った重量の純銀の棒の両端...
(タイ中央銀行博物館 地下1階)

(タイ中央銀行博物館 地下1階)

↑こちらは 1.7kg の金のインゴット。第2次世界大戦(後?)のタイ政府は資金に乏しく、国債を発行して、満期になると現金または純金による支払いの好きな方を選べたそうです。

(タイ中央銀行博物館 地下1階)

(タイ中央銀行博物館 地下1階)

↑下側はラーマ9世国王の50歳の誕生日を記念して発行された50万バーツ!紙幣。実売価格は100万バーツで、差額の50万バーツは慈善事業に寄付されたそうです。

まぁこのように大変なコレクションがありました。もうお気付きとは思いますが、僕はタイの古い硬貨にすこし興味がありまして、この展示物は大変な眼福でした。次はひとりでゆっくりと見学したいと思います。

動画で見る

簡単にまとめた動画を作ってみました。よろしければご覧ください。

タイの古い貨幣・紙幣を買えるオークション

タイでは Eur-seree という会社がバンコクで定期的にオークションを開催しており、このオークションでは古銭だけでなく、美術品、切手、仏像、アンティーク時計なども売買されています。ご興味がある方はどうぞ。

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