
タイで銀行口座を作るとき、バンコク銀行・カシコン銀行と並んで候補になるのがSCB銀行だ。正式名はサイアム商業銀行(Siam Commercial Bank)で、タイで最も歴史のある銀行。それでいてアプリやコンビニ連携などの新サービスでは常に先頭を走ってきた、老舗なのに身軽な銀行だ。この記事では、SCB銀行の口座開設の条件と使い方をまとめる。
タイの銀行全体の話(銀行の選び方、金利、口座維持費、名義貸しのリスクなど)はタイの銀行口座の作り方と使い方【2026年版】にまとめているので、この記事はSCB銀行の個別解説として読んでほしい。
SCB銀行(サイアム商業銀行)はどんな銀行か
SCB銀行は1907年設立、タイ最古の商業銀行だ。日本語では「サイアム商業銀行」「サイアムコマーシャル銀行」とも書かれる。イメージカラーは紫で、紫のATMを見かけたらSCBだ。
老舗なのに動きが速いのがこの銀行の面白いところで、モバイルバンキングの振込手数料をタイで真っ先に無料化したのも、セブンイレブンでの入出金を最初に始めたのもSCBだった。支店を減らしてアプリに寄せる戦略も早くから進めていて、いまは「SCB EASY」というアプリを軸にした銀行になっている。
日本語窓口はある?
SCB銀行に常設の日本語窓口は見当たらない。コールセンター(SCB Call Center 02-777-7777)はタイ語と英語での対応になる。
日本語で相談しながら口座を作りたい人は、ジャパンデスクのあるバンコク銀行のほうが向いている。アプリ中心で使うならSCBやカシコンが合う。
口座開設の条件(2026年時点)
SCB銀行の普通預金の必要書類は、公式サイトでは「本人確認書類。外国人はパスポートとワークパーミット」とされている。
2025年以降、タイの銀行はどこも外国人の口座開設の審査を厳しくしていて、観光ビザやノービザでの新規開設は実質できなくなっている。これはSCBも同じ流れだ。現実的に開設できるのは次のような人になる。
- 就労ビザ+ワークパーミットで働いている人
- リタイアメントビザ、家族ビザなどの長期滞在ビザを持っている人
ワークパーミットのない長期滞在者(リタイアメント・帯同家族など)は、ビザに応じた追加書類を支店ごとに判断されるのが実情なので、行く前に支店に必要書類を確認しておくと空振りしなくて済む。
開設当日の流れと所要時間
支店で書類を出して、申込書にサインして、順調なら1時間前後。
- 最低預入額は500バーツ(普通預金)
- サインはパスポートと同じものにすること
- デビットカードを作るか聞かれる(後述。SCBは有料のみ)
- アプリ「SCB EASY」の設定とPromptPay(電話番号と口座の紐付け)もその場で済ませるのがおすすめ
PromptPayについてはタイのQRコード決済の記事で詳しく書いている。
口座の種類 ― 普通預金とEZ Savings
最初に作るのは普通預金(Savings Account)ひとつで十分。金利は年0.25%だ(通帳なしのE PASSBOOK型なら0.45%)。
余裕資金があるなら、通帳なしの「EZ Savings」を足すといい。100万バーツまでの部分に年1.25%が付く(超えた部分は0.35%)。カシコン銀行のK-eSavings(1.25%は50万バーツまで)より高金利の枠が広いので、まとまったお金をタイに置いておく人にはSCBのほうが有利だ。
口座維持費はかかるのか
普通に使っている限りかからない。休眠手数料の条件は「1年を超えて動きがなく、かつ残高が2,000バーツ以下」で、該当すると月20バーツずつ引かれる。残高2,000バーツ超を保っていれば維持費はかからない。
もうひとつ細かい話として、開設から30日以内に解約すると手数料50バーツがかかる。作ってすぐ閉じるような使い方は想定されていない。
アプリはSCB EASY
SCB EASYからの振込は、SCB内も他行宛もPromptPayも全部無料。請求書払い、過去6ヶ月分の明細表示、カードレスでのATM引き出しまでアプリでできる。
LINEを使っているなら「SCB Connect」も便利で、口座の入出金があるたびにLINEに通知が来る。登録方法はSCB Connectの記事に書いている。不正出金にすぐ気付けるので、口座を作ったらセットで登録しておきたい。
セブンイレブンで入出金できる
SCBはタイの銀行で最初にセブンイレブンでの入出金を始めた銀行だ(いまは他行にも広がったが、先駆者だけあって使い勝手がこなれている)。タイ全土のセブンイレブン(レジのCounter Service)で、手数料1回15バーツで預入・引出ができる。アプリでQRコードを出して店員に見せるだけで、ATMカードは要らない。
- 預入:1回1万バーツまで、1日99,999バーツまで
- 引出:1回100〜5,000バーツ、1日2万バーツまで
夜中でも田舎でも、セブンイレブンさえあれば銀行の用が足りる。ATMを探して歩くより早いことも多い。
ATM手数料と他行ATMでの引き出し
SCBの紫のATMでの引き出しは無料。口座の登録地と違う清算区のATMだと1回15バーツかかるが、SCBの場合はバンコク・パトゥムタニ・ノンタブリ・サムットプラーカーン・サムットサーコーン・ナコンパトムの6県がまとめて同一区扱いなので、バンコク圏の生活ではまず気にしなくていい。
他行のATMは、同じ県内なら月4回まで無料で、5回目から1回10バーツ。県をまたいで他行ATMで引き出すと1回20バーツ。カードレス引き出しはSCBのATMなら無料、他行のATMだと10バーツだ。
海外のATMでSCBのデビットカードを使うと1回100バーツ+為替上乗せ(最大2.5%)。非常用と考えたほうがいい。
デビットカード
標準の「Let’s SCB」デビットカードは発行100バーツ・年会費200バーツ。アプリから作れるカードレスのバーチャルデビット(年200バーツ)もある。カシコン銀行のような無料デビットカードはないので、年200バーツは口座の実質的な維持費と考えておくといい。
カードなしでもATMのカードレス引き出しとセブンイレブンの入出金でだいたい回るので、「デビットは作らない」という選択も普通にありだ。
SCBのクレジットカードは、2023年から子会社のCardXが発行元になっている。ラインナップと日本人が申し込むときの条件はこちら。
サイアム・コマーシャル銀行(SCB)のクレジットカード【2026年版】発行はCardXに変わった
日本からの送金の受け取り
日本からSCBの口座に送金してもらうときのSWIFTコードは SICOTHBK。銀行名はThe Siam Commercial Bank PCL、口座番号と英字の口座名義を伝えれば受け取れる。
もっとも、日本⇔タイの送金は銀行のSWIFT送金よりWiseなどの送金サービスのほうが安く済むことが多い。手数料の比較は日本⇔タイの海外送金の記事にまとめている。
口座凍結と長期不使用の注意点
タイの銀行は詐欺対策で口座の監視が厳しくなっていて、長期間の放置や不審な入金で口座が凍結されることがある。解除は本人が支店に出向くしかない。
長くタイを離れるときは、(1) SCB EASYにログインできる状態を保つ、(2) 残高を2,000バーツ超にしておく、(3) たまに小額でも動きを作る。この3つで休眠・凍結のリスクをかなり減らせる。
本帰国するときの解約
パスポートと通帳(E PASSBOOKならアプリ)、デビットカードを持って支店へ。残高はその場で受け取るか他口座へ振り替える。
解約前にやっておきたいのが明細の確保で、SCB EASYで見られる明細は過去6ヶ月分。それより古い記録が必要になりそうな人は、解約前に支店で必要な期間の明細を発行してもらっておくこと。
まとめ
- SCB銀行はタイ最古の商業銀行。それでいてアプリ・コンビニ連携は最先端
- セブンイレブンで1回15バーツで入出金できる(この分野の先駆者)
- SCB EASYからの振込は他行宛も全部無料。LINE通知のSCB Connectも便利
- EZ Savingsなら100万バーツまで年1.25%。高金利枠の広さはカシコンより上
- 無料デビットはない(年200バーツ)。開設は実質、長期滞在ビザ+ワークパーミット等が必要
※この記事は2026年7月時点の情報です。手数料の数字はSCB銀行の公式手数料表(預金関連2026年7月1日改定、ATM・カード関連2026年3月26日改定、銀行代理店2025年10月10日改定)、金利は2026年7月30日施行の金利表に基づいています。最新の条件は必ず公式サイトか支店で確認してください。


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