
タイで銀行口座を作るとき、バンコク銀行と並んで候補になるのがカシコン銀行だ。スマホアプリ「K PLUS」の使いやすさはタイの銀行でも頭ひとつ抜けていて、僕の周りでも「メインはカシコン」という日本人は多い。この記事では、カシコン銀行の口座開設の条件(2025年からかなり厳しくなった)と、口座の使い方をまとめる。
タイの銀行全体の話(銀行の選び方、金利、口座維持費、名義貸しのリスクなど)はタイの銀行口座の作り方と使い方【2026年版】にまとめているので、この記事はカシコン銀行の個別解説として読んでほしい。
カシコン銀行(KBank)はどんな銀行か
カシコン銀行(Kasikornbank、通称KBank)は、タイ4大銀行の一角。イメージカラーは緑で、街で緑色のATMを見かけたらだいたいカシコンだ。日本語では「カシコンバンク」「カシコーン銀行」と表記されることもある。
この銀行の特徴はデジタルへの振り切りぶりで、スマホアプリ「K PLUS」はタイで最も使われているバンキングアプリのひとつ。LINEと組んだ「LINE BK」や、若者向けの「MAKE by KBank」など、スマホ完結型のサービスを次々出している。個人で使う分には「アプリが使いやすい銀行」と覚えておけばいい。
日系企業との取引も多く、勤務先の給与振込口座がカシコン指定というケースもよくある。そうなったら迷わずカシコンでいい。
日本語窓口はある?
カシコン銀行は日本との取引を重視していて、日系企業向けのジャパンデスクを置いている。ただこれは法人向けで、個人客向けの常設の日本語窓口は案内されていない。個人のコールセンター(K-Contact Center)は02-8888-8888がタイ語、02-8888-8800が英語での対応になる。
日本語でじっくり相談しながら口座を作りたい人は、日本語デスクのあるバンコク銀行のほうが向いている。逆に、開設さえ済めばあとはアプリで完結させたい人にはカシコンが合う。
口座開設の条件(2026年時点)
ここが一番大事なところ。カシコン銀行は公式サイトで、観光ビザ・ビザオンアライバル・ノービザ・DTVビザ(ノマドビザ)での口座開設はできないとはっきり書いている。2025年以降のタイの銀行全体の規制強化の流れで、カシコンも例外ではない。
いま新規で口座を開けるのは、Non-Immigrantビザ(就労・リタイアメント・家族などの長期滞在ビザ)を持っている人だ。公式サイトに載っている外国人の必要書類は次の通り。
- パスポート
- Non-Immigrantビザ(種類は問わない)
- 母国の政府発行の身分証(日本人なら運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 滞在目的に応じた書類(働く人はワークパーミット、留学生は学校の在籍証明など)
母国の身分証まで求められるのがカシコンらしいところで、日本の運転免許証を持っていれば見せられるようにしておくとスムーズだ。
ワークパーミットのない帯同家族は開設できるか
駐在員の配偶者など、家族ビザ(Non-O)で滞在していてワークパーミットがない人の場合、上の「滞在目的に応じた書類」をどう満たすかが支店判断になりやすい。配偶者のワークパーミットや結婚を証明する書類を求められることが多いようだ。
確実にしたければ、口座を開きたい支店に事前に必要書類を確認してから行くのがいい。勤務先やコンドミニアムの近くなど、外国人の来店に慣れた支店を選ぶと話が早い。
開設当日の流れと所要時間
支店の窓口で「口座を開きたい」と伝えて、書類を出し、申込書にサインしていく。順調なら1時間前後で終わる。
- 最低預入額は公式にはなし(普通預金は「開設時の最低預入不要」と明記されている)。とはいえ多少の現金は入れておくと後の設定が楽
- サインはパスポートと同じものにすること。あとで書類のサインが照合される場面が必ず来る
- その場でデビットカードを作るか聞かれる(後述。無料のカードもある)
- K PLUSのセットアップとPromptPay(電話番号と口座の紐付け)もその場で済ませてしまうのがおすすめ
PromptPayについてはタイのQRコード決済の記事で詳しく書いている。
口座の種類 ― 普通預金とK-eSavings
最初に作るのは普通預金(Savings Account)ひとつで十分。金利は年0.25%だ。
余裕資金があるなら、K PLUSから開ける通帳なしの「K-eSavings」を足すといい。50万バーツまでの部分に年1.25%が付く(超えた部分は0.35%)。普通預金の5倍なので、生活資金は普通預金、置いておくお金はK-eSavings、と分けるのがカシコンでの定番の使い方になる。
ちなみにカシコンは投資信託にも強く、S&P500に連動するK-US500Xのような商品も扱っている。
口座維持費はかかるのか
普通に使っている限り、口座維持費はかからない。取られるのは休眠口座になった場合で、条件は「1年を超えて動きがなく、かつ残高が2,000バーツ未満」。これに該当すると月20バーツずつ引かれていく。
逆に言うと、残高が2,000バーツ以上あれば放置していても維持費は引かれない。本帰国などで口座を残す場合はこの数字を覚えておくといい。
アプリはK PLUS
カシコンを選ぶ最大の理由がこのアプリと言ってもいい。K PLUSからの振込は、他行宛でも全部無料。QR決済、公共料金の支払い、K-eSavingsの開設、投資信託の購入までアプリで完結する。
タイの銀行はどこも支店を減らす方向で、カシコンもアプリ前提の銀行になっている。口座を作ったその日にK PLUSを設定して、以降の用事はアプリで済ませるのが基本形だ。
ATM手数料と他行ATMでの引き出し
カシコンのATM(緑のK-ATM)での引き出しは無料。ただし口座の登録地と違う清算区のATMだと1回15バーツかかる。バンコク・パトゥムタニ・ノンタブリ・サムットプラーカーンは同一区扱いなので、バンコク圏で暮らす分にはほぼ気にしなくていい。
他行のATMを使う場合は、同じ県内なら月4回まで無料、5回目から1回10バーツ。県をまたいで他行ATMで引き出すと1回20バーツかかる。
日本など海外のATMでカシコンのデビットカードを使うと、1回100バーツ+為替リスク料(最大2.5%)。それなりに取られるので、日本での出金用というより非常用と考えたほうがいい。
デビットカードと、その先のクレジットカード
デビットカードは何種類かあって、標準の「K DEBIT」は発行50バーツ・年会費250バーツ。一方で「K BASIC DEBIT CARD」なら発行料も年会費も無料だ。ATMで引き出せてタッチ決済もできれば十分、という人は窓口で「無料のベーシックカードで」と伝えるといい。
タイに腰を据えるなら、その先にカシコンのクレジットカードという選択肢もある。日本人でも作りやすい銀行のひとつで、詳しくはカシコン銀行のクレジットカードの記事にまとめている。ただし2026年に入って年会費の扱いが変わってきているので、そちらも合わせて読んでほしい。
日本からの送金の受け取り
日本からカシコンの口座に送金してもらうときのSWIFTコードは KASITHBK。銀行名はKASIKORNBANK PUBLIC COMPANY LIMITED、口座番号と英字の口座名義を伝えれば受け取れる。
もっとも、日本⇔タイの送金は銀行のSWIFT送金よりWiseなどの送金サービスのほうが安く済むことが多い。手数料の比較は日本⇔タイの海外送金の記事にまとめている。
口座凍結と長期不使用の注意点
タイの銀行は近年、詐欺対策で口座の監視が厳しく、身に覚えのない入金や長期間の放置で口座が凍結されることがある。凍結解除は本人が支店に出向くしかなく、タイ国外からは手続きできない。
長くタイを離れるときは、(1) K PLUSにログインできる状態を保つ、(2) 残高を2,000バーツ以上にしておく、(3) たまに小額でも動きを作る、の3つで休眠・凍結のリスクをかなり減らせる。
本帰国するときの解約
本帰国で口座を閉じる場合は、パスポートと通帳、デビットカードを持って支店へ。残高はその場で現金で受け取るか、他の口座に振り替える。解約自体は難しくない。
気をつけたいのは取引明細で、解約したあとに「過去の入出金の記録が要る」となっても取りにくい。確定申告や年金関係で明細が必要になりそうな人は、解約前にK PLUSから明細(Statement)を保存しておくこと。
まとめ
- カシコン銀行はアプリ「K PLUS」が強み。振込は他行宛でも全部無料
- 口座開設はNon-Immigrantビザが必須。観光ビザ・DTVでは開けない(公式明記)
- デビットカードは無料の「K BASIC DEBIT CARD」を選べる
- K-eSavingsなら50万バーツまで年1.25%
- 残高2,000バーツ未満で1年放置すると月20バーツの休眠手数料
※この記事は2026年7月時点の情報です。手数料の数字は2026年7月1日改定のカシコン銀行の公式手数料表(อ 011/2569・อ 014/2569)、金利は2026年5月9日改定の金利表(อ 009/2569)に基づいています。最新の条件は必ず公式サイトか支店で確認してください。


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