タイで働いている方は、節税のために貯蓄型の生命保険や、年金保険に加入している方が多いでしょう。
タイでは、
- 生命保険控除 最大10万バーツまで
- 年金保険控除 最大20万バーツまで
を、所得から控除して、節税することが認められています(詳しくは別記事『タイの個人所得税を節税しよう』をご参照ください)。
ただ、銀行や保険会社が出している保険は、保険料、配当金、契約期間がそれぞれ異なっているため、単純に比較できず、どちらが良い保険商品なのかわからない・・・という方も多いのではないでしょうか?
この記事では、エクセルを使って保険商品の利回りを計算し、保険同士を簡単に比較する方法を説明しています。
目次
例1:貯蓄保険(払込6年 満期10年)
僕が実際に加入している貯蓄保険(払込6年 満期10年)を例にして、利回りを計算してみます。
保険の内容
下図は、保険会社からもらった計算表です。
保険の内容は
- 毎年10万バーツを6年間払う
- 1~9年後に毎年 16,702バーツを受取、10年後に 532,250バーツを受取
となっています。
この保険の利回りを計算してみましょう。
エクセルで作表
下のように作表します。
「年」の意味が、保険会社の表と少し違っているので気をつけてください。「0年」は契約日、「1年」は契約日から1年後という意味です。実際の現金の出入りに基づいて計算します。
毎年の支払額と受取額を入力して、D行で合算します。セル E2 の式は、「=IRR(D2:D11) 」となっています。IRR は利回り(正確には内部留保率といいます)を計算する関数です。
この保険の利回りは 年1.88% と計算できました。あとは、他の保険と利回りを比較するだけで、優劣を決めることができます。
また、所得税を 20% 節税した場合の利回りも計算してみましょう。
利回りは 年6.08% となります。現在、これほどの高利を確実に得られる投資はほとんどありません。タイの貯蓄保険を使った節税が、どれほどお得なのかがわかります。
例2:貯蓄保険(払込5年 満期85歳)
こちらは、先日某銀行でもらった、貯蓄保険の案内です。
保険の内容
保険の内容は
- 毎年10万バーツを5年間払う
- 85歳になるまで、好きなときに解約して、払戻金をもらう
- 銀行の説明では「年利 2.9%」
となっています。
この保険を、10年で解約した場合の利回りを計算してみましょう。
エクセルで作表
下のように作表します。
この保険の利回りは 年0.87% となります。もし節税できないなら、定期預金の利回りを下回ってしまいますね(ただし、死亡時の保障がありますので、単純に定期預金のほうが良いというわけではありません)。
例3:年金保険(払込5年 満期90歳)
こちらは年金保険です。
保険の詳細
保険の内容は
- 毎年20万バーツを5年間払う
- 60歳(16年後)までに解約して払戻金をもらうか、60~90歳まで毎年 80,778バーツをもらうかのどちらかを選ぶ
- 60歳(16年後)までに解約した場合の払戻金は、2枚目の表の通り
となっています。
1~4年目に解約するのは大損するので論外ですが、では5~16年後に解約した場合と、60歳から90歳まで年金をもらった場合の利回りはどうなっているか、計算してみましょう。
エクセルで作表
まず最初は、5~16年後に解約した場合です。
例えば、5年後に解約した場合は 910,632バーツの払戻金を受け取り、利回りは 年-3.10% です。(計算の都合上、エクセルファイルのIRRには、式ではなくて計算結果を入れています)
利回りが最も良いのは、16年後に解約した場合の 年1.71% ですね。
では、年金をもらった場合はどうでしょうか。
17年後から年金をもらえますが、利回りがプラスになるのは 29年後からです。相当長生きしないと、元を取るのは難しそうです。
まとめ
この方法を使うと、保険の利回りを簡単に計算して、比較できます。
節税分を考慮すると、違った結果になることもありますので、ご自分でもいろいろ試してみてください。
今回の計算をしたエクセルファイルをここに置いておきますので、ダウンロードしてご自由にお使い下さい。
コメント
ご参考までに、貴殿の加入しておられます
貯蓄保険の会社名、プランをご教示頂けませんでしょうか。
小生も節税の為、今年加入しようかと検討しております。
ゴン太さん
「例1:貯蓄保険(払込6年 満期10年)」は DHIPAYA 社で、プランは上記の通りです。
払戻金などは年齢によって多少変わりますので、全く同じ金額にはならないことはご承知下さい。
早速のご回答ありがとう御座いました。
参考にさせて頂きます。
生命保険での節税は途中で解約したらどうなるのでしょうか?
10年経つ前に帰国、急にお金が必要になった、保険会社を変えたいなどで解約する場合です。
例えば5年払い10年満期で6年目で解約した場合、10年経っていないので、節税分は返さなければならないのでしょうか。
生命保険・年金保険の場合は、途中で解約しても、それまでの節税分を返す必要はありません。保険会社から解約金を受け取っておしまいです。
条件は「10年経っていること」ではなく、「契約の期間が10年以上」です。契約書に10年以上と書いてあれば、実際の契約が1年だけで終わっても問題ありません。
LTF/MRFの場合は節税分を返す必要があります。
途中で解約してもOKとのことで、加入する決心がつきました。
教えていただきありがとうございました。