タイの年金、税金はかかる?

タイの年金、税金はかかる?

タイで働いた経験のある方から、よくいただくご質問です。「タイの年金が振り込まれるとき、税金は引かれるんですか?」「日本で確定申告は必要ですか?」と。

このページでは、「タイで働いていたが、現在は日本にお住まいの方」がタイの社会保険老齢給付を受け取るケースを想定して書いています。タイにそのままお住まいの方は、関係するのはタイの税金だけになります(後述のとおりタイでは非課税です)。

結論からお伝えすると、

  • タイの税金:振込時に天引きされません(タイの所得税法で非課税扱い)
  • 日本の税金:日本にお住まいの方が受け取る場合、所得分類上は「退職所得」または「公的年金等」になり、それぞれ大きな控除があるため、控除の枠内に収まれば結果的に税負担はゼロまたは軽くなるケースが多くなります
  • 個別の税額計算や申告については、税理士または税務署にご確認ください

順番にご説明します。

タイの税金:振込時に天引きされません

タイの社会保険の老齢給付(一時金・終身年金)は、タイの所得税法(Revenue Code Section 42(25))で個人所得税の課税対象から除外されています。これは受給者がタイ在住か日本在住かに関係なく適用される、タイ国内のルールです。

そのため、タイの社会保険事務所から振り込まれる金額は、税金が天引きされていない金額がそのまま入金されます。これまでサポートさせていただいた方々も、表示された金額がそのまま着金されていました。

日本の税金:日本にお住まいの方が受け取る場合

日本にお住まいの方がタイの社会保険老齢給付を受け取った場合、日本の所得税法上の所得分類は、給付の種類によって変わります。

給付の種類 日本の所得分類 根拠
一時金(加入180ヶ月未満) 退職所得(退職手当等とみなす一時金)として扱われる可能性が高い 国税庁タックスアンサー No.2725
終身年金(加入180ヶ月以上) 公的年金等(雑所得)として扱われる可能性が高い 国税庁タックスアンサー No.1600

国税庁の見解では、外国の社会保険・共済類似制度から、被保険者の退職に基因して支払われる一時金は「退職手当等」とみなされる、外国の社会保障制度から支給される年金は「公的年金等」に含まれる、と説明されています(上記タックスアンサー参照)。

タイの社会保障基金(Social Security Fund)の老齢給付は、この枠組みに該当すると考えられます。

控除があるので、実際の税負担は軽くなりやすい

「退職所得」「公的年金等」のどちらにも、大きな控除が用意されているのが日本の税制の特徴です。

一時金(退職所得)の場合

退職所得には退職所得控除があります。

  • 勤続年数20年までは、1年あたり40万円
  • 勤続年数20年超は、1年あたり70万円
  • 例:タイで5年勤務 → 控除200万円。10年勤務 → 控除400万円

タイ駐在3〜10年の方の一時金は、目安として約17〜60万円のレンジ、14年勤務でも約90万円が一般的です。退職所得控除の枠内に収まるケースが多くなります。

さらに、退職所得は「収入金額から退職所得控除を差し引いた残りの1/2」を課税対象とする計算式(分離課税)になっており、二重に税負担を軽くする設計です。

なお、勤続5年以下で退職された方には別途「短期退職手当等」の特例があり、計算方法が一部変わる場合があります(国税庁タックスアンサー No.2740)。該当しそうな方は、税理士または税務署にご確認ください。

終身年金(公的年金等)の場合

公的年金等には公的年金等控除があります。

  • 65歳以上:年110万円の控除(公的年金等の収入が330万円以下の場合)

タイの終身年金は月額数千〜数万円程度が一般的です。日本の厚生年金や老齢基礎年金と合算した上で、控除枠の中に収まるかどうかで税負担が決まります。

ただし、これらはあくまで一般的な見通しです。実際の課税の有無や金額は、他の所得・扶養・勤続年数・加入期間などで変わります。個別の試算は税理士または税務署にご相談ください。

日タイ租税条約はどう関係する?

「日本とタイの間に租税条約があるので、二重課税にはならないのでは?」というご質問もいただきます。

日タイ租税条約には、退職年金に関する個別の条項がありません。そのため、年金は条約上の「その他の所得」条項の対象となり、居住地国(日本)に課税権があるという建て付けになります。

タイは非課税、日本は所得分類に応じた控除を適用した上で課税対象になる、というのが現在の整理です。

確定申告は必要?

「日本で課税対象になるなら、確定申告が必要ですか?」というご質問もいただきます。

これは個別の状況で変わります。

  • 退職所得は、本来は支払者が源泉徴収して課税関係を完結させる制度ですが、外国の給付には日本の源泉徴収義務者がいないため、自分で申告するのが基本
  • 公的年金等は、年間の合計収入や他の所得との関係で確定申告の要否が変わる

いずれにせよ、実際の申告の要否や具体的な申告方法は、お住まいの地域を管轄する税務署または税理士にご相談いただくのが確実です。

まとめ

  • タイの税金:振込時には課税されない(Revenue Code Section 42(25))
  • 日本の税金(日本にお住まいの方):所得分類上は退職所得または公的年金等になり、それぞれ大きな控除があるため、控除の枠内に収まれば結果的に税負担はゼロまたは軽くなるケースが多くなります
  • 個別の税額計算や申告については、税理士または税務署にご相談ください

タイの年金制度そのものを詳しく知りたい方へ

タイの社会保険の老齢給付の仕組み、受給資格、加入期間と金額の関係などは、別記事「【完全解説】タイの老齢年金 日本人も55歳からもらえます」に詳しく書いてあります。あわせてご覧ください。

ご自身のケースが知りたい方へ

タイの年金は、加入していた期間と社会保険番号さえ分かれば、受給見込みの金額を試算できます。受給額診断ツールで30秒で確認できます。

僕はタイ駐在25年で、日本人の方の年金申請を40名以上お手伝いしてきました。社会保険番号がお分かりの方は、全員無事に受給されています。料金は定額35,000円(タイバーツでのお支払いの場合は7,000バーツ)、もし受給資格がないと分かった場合は全額返金しますので、ご安心ください。

ご質問やご相談は、こちらの相談フォームからお気軽にどうぞ。


本記事についての注意

本記事は2026年6月時点の一般的な制度の解説であり、個別の税額計算や具体的な申告の助言を行うものではありません。税の取り扱いは個別の状況(他の所得・勤続年数・加入期間など)で変わるため、実際の申告については税理士または最寄りの税務署にご確認ください。

一次情報:
国税庁タックスアンサー No.2725 退職所得となるもの
国税庁タックスアンサー No.1600 公的年金等の課税関係


最終更新:2026年6月

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