サイアム系で行こう!の紹介記事を読んで、「The Master」(邦題:「あの店長」)を観てきました。映画は一部に再現映像がありますが、ほぼ全編がインタビューで、ちょっと異色の映画ですね。詳しい内容は上の記事に出ていますので、そちらを読んでいただくとして、僕はちょっと別の視点から語らせていただきます。
この映画の一番すごいところは、映画の海賊版という違法行為について、インタビューを受けた映画関係者が率直に語っていることだと思います。映画を観始めると、出演者たちは割と簡単に口を割って(笑)伝説のコピー屋「ウェンさん」(眼鏡のおじさん)のことを話し始めます。劇場公開の映画で違法行為を語るってすごすぎる。
では皆はウェンさんの違法行為を責めるのかというとそうではなく、過去には「あの店がなくなったら困る」とばかりに、紙面では「あのおじさんの店」と書いて警察にバレないよう配慮したり、店で大量の映画を買ったりして、ウェンさんを影になり日向になり支援していました。なぜならば、彼ら映画関係者たちにとって、ウェンさんは他では手に入らない貴重な映画を観せてくれる映画会の大事な一員であり、身内も同然だったからです。映画館 HOUSE の創設者は、開館後にウェンさんを呼んだときは、まるで大事な先生が訪ねてくれたような気分だった、と映画の中で語っています。
彼らがウェンさんに持っていたのは、共犯意識だったのでしょうか?そこでこの映画は質問します。「海賊版は犯罪だと思いますか?」また、ウェンさんの映画を観ながら監督になった、ペンエーク監督やソンヨット監督に質問します。「あなたの作品の海賊版についてはどう思いますか?」この質問に対する答えには驚きました。ぜひご覧になって確かめてみてください。
映画は、皆に「その後ウェンさんに会いましたか?」と質問し、誰もが会ってない、知らないと答えて終わります。伝説の違法コピー屋はどこへ消えたのか、、、という謎を残して幕を閉じますが、実は出演者たちは知っていて、みんなでウェンさんをかばっているんだよな、わかってるよ、と思わずにいられませんね。
あと余談ですが、ウェンさんの店で人気があった作品として、ゴダールやウォン・カーウァイの他に、「リング」や「回路」、ジブリ作品など日本映画が挙がっていたのは、日本人としては嬉しい箇所です。
RCA の HOUSE で2014年11月27日より公開、年内は上映? タイ語音声のみ、字幕なしです。
コメント
ブログへのコメント&リンクありがとうございます。
記事読んでいるうちに、また観に行きたくなってしまいました。
Houseによると、こちらの作品、とりあえず新年くらいまで上映する予定のようですよ。
コメントありがとうございます。公開期間の部分を訂正しました。今後は英語字幕をつけて、もっと沢山の人に観てほしいですね。