
タイへの赴任が決まると、引っ越しやビザの準備に追われて、日本の税金のことは後回しになりがちです。でも住民税と所得税は、出国前にやっておくかどうかで手間も金額も変わるところ。この記事では、タイ赴任中(予定)の方向けに、日本側の住民税・所得税がどうなるのかを整理します。
先に要点だけ。
- 住民税は「1月1日にどこに住民票があるか」で決まる
- 赴任した年の住民税(前年の所得分)は消えない。払い方を決めてから出国する
- 1年以上の予定の赴任なら、所得税は「非居住者」扱い。出国前に会社が年末調整をしてくれる
住民税は「1月1日」がすべて
日本の住民税は、その年の1月1日(賦課期日といいます)に住民票のある市区町村が、前年1年分の所得に対して課税する仕組みです。
つまり、海外転出届を出して出国し、1月1日の時点で日本に住民登録がなければ、その年度の住民税はかかりません。逆に、1月2日に出国しても、その年度分は丸ごとかかります。1日違いで1年分変わる、なかなか極端なルールです。
ひとつ注意があって、形だけ転出届を出しても、出国の期間や目的から「単なる旅行」とみなされる場合は、出国中でも課税されると自治体は明言しています。会社の辞令で赴任する分には心配いりませんが、「住民税を消すためだけの年末出国」は通用しない、ということです。
赴任した年の住民税は消えない
勘違いしやすいのがここです。たとえば2026年の夏にタイへ赴任する場合、2026年度の住民税(2025年の所得分)は、出国しても納税義務が残ります。前年の所得に対する税金だからです。
払い方は主に3つ。
- 最後の給与や退職金から一括で天引きしてもらう(会社員の場合はこれが一番ラク)
- 出国前に自分で一括納付する
- 日本に残る家族や親族を納税管理人として届け出て、代わりに納めてもらう
会社員なら、経理・人事が一括徴収の手続きをしてくれることが多いので、まず会社に確認してください。納付書が残る場合は、市区町村に納税管理人の届出をしておくと、通知の受け取りから納付まで代行してもらえます。
海外転出届はいつ出す?
住民票を海外転出にする(除票する)届出は、おおむね1年以上海外に住む場合が対象で、出国の14日前から出せます。通常の駐在なら対象です。
なお、住民票を抜くかどうかは、国民健康保険・年金・マイナンバーカードなどにも影響する話で、損得の分かれ目がいくつもあります。ここは別記事で詳しくまとめています。

所得税は「非居住者」になるかどうか
所得税のほうは、住民票ではなく居住の実態で決まります。国税庁の扱いでは、1年以上の予定で海外に転勤する場合、出国の翌日から所得税法上の「非居住者」になります。
非居住者になると、日本で課税されるのは「国内源泉所得」だけ。つまり、タイでの勤務に対する給与には、日本の所得税はかかりません(そのかわりタイで納税します)。
出国前に会社が「出国時年末調整」をする
会社員が年の途中で非居住者になる場合、会社は出国の日までに年末調整を行います。1月から出国日までの給与で所得税を精算してくれるので、本人が確定申告をしに税務署へ行く必要は基本的にありません。赴任前の慌ただしい時期ですが、会社から保険料控除などの書類を求められたら早めに出しておきましょう。
日本に収入が残る人は納税管理人を
持ち家を貸して家賃収入がある、日本の不動産を売る予定がある――こういう国内源泉所得が残る人は、非居住者になっても日本での確定申告が必要です。出国前に税務署へ納税管理人の届出をして、申告・納税を代行してもらう体制を作っておいてください。
また、内国法人の役員として受け取る報酬は、海外勤務でも国内源泉所得として20.42%の源泉徴収がかかるなど、役員は一般の従業員と扱いが違います。役員で赴任する方は、顧問税理士に確認しておくのが安全です。
タイ側の税金は別の話
ここまでは日本側の話で、タイで働けばタイの所得税を納めることになります。タイの税金の仕組みと節税は、こちらの記事にまとめています。

まとめ:出国前のチェックリスト
- 会社に住民税の一括徴収を依頼(できなければ納税管理人の届出)
- 市区町村に海外転出届(出国14日前から)
- 会社の出国時年末調整の書類を提出
- 日本に家賃収入などが残る人は、税務署に納税管理人の届出
税金は個別の事情で結論が変わります。迷ったら、会社の人事・経理、市区町村の税務担当、税理士に確認してください。
※この記事は2026年7月時点の情報をもとにしています。


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