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タイに行くとき、いちばん面倒なのがスマホの通信だと思う。空港でSIMを買うのか、eSIMを事前に入れておくのか、それともレンタルWi-Fiか。毎回悩む人が多いところだ。
ただ、ここ数年で状況がかなり変わった。日本で使っているスマホをそのまま持って行くだけで、追加料金なしでタイでも使えるキャリアが増えている。僕の周りでも、短い出張ならもう何も準備しない、という人がふつうになってきた。
この記事では、2026年8月時点で各社が何をどこまでやってくれるのかを整理する。数字はすべて各社の公式ページで確認したものだ。
先に結論
1週間くらいの旅行や出張で、地図とLINEとちょっとした調べもの、という使い方なら、楽天モバイルか ahamo を使っている人は本当に何も準備しなくていい。空港に着いたら電源を入れ直すだけで繋がる。
ソフトバンクとワイモバイルも追加料金なしの方向に動いているけれど、条件が細かいのと、ワイモバイルは本番がまだ先だ。au とドコモは「別料金だけど1日いくらで使える」タイプで、これはこれで悪くない。
逆に、動画をたくさん見る、テザリングでパソコンを使う、1ヶ月以上いるという人は、ローミングだと足りないか制限に当たる。その場合は現地SIMのほうが早い(後半で書く)。
楽天モバイル:月2GBまで、いちばん気楽
楽天モバイルは107の国と地域でそのまま使えて、タイも入っている。Rakuten最強プランなら月2GBまで追加料金なし。申し込みも設定も要らない。
2GBを使い切ると最大128kbpsに落ちる。ここまで落ちるとLINEのテキストがやっと、という速度なので、足りなければ1GB 500円で買い足す形になる。
通話は Rakuten Link 同士なら無料で、日本の固定電話や携帯にかけるのも Rakuten Link 経由なら無料。タイから日本の家族や会社に連絡する用事があるなら、これはけっこう効く。
注意点はふたつ。ひとつはデータタイプ(データ専用)は通話・SMSの対象外だということ。もうひとつは、2GBという枠は地図を出しっぱなしにしていると意外と早く減るということ。Googleマップのナビを1日中つけていると、数日でなくなる。
ahamo:月30GB。ただし「15日」の罠がある
ahamo は91の国と地域で使えて、こちらもタイが対象。データ量は月30GBで、これも申し込み不要。
ここだけ見ると圧勝に見えるのだけど、条件がふたつある。
ひとつめ。この30GBは日本国内で使った分と合算だ。日本で20GB使ってからタイに来たら、残りは10GBということになる。
ふたつめが本題で、海外での利用が15日を超えると最大128kbpsに制限される。しかも厄介なのは、この制限はデータを追加購入しても解除できないこと。日本に帰って国内で使うまで戻らない。
つまり ahamo は「2週間までの滞在なら最強、それを超えると使えなくなる」という性格だ。タイに1ヶ月いる予定の人が ahamo だけで行くと、後半の2週間をまるごと128kbpsで過ごすことになる。これは実際にやらかしている人を何人か見た。長期の滞在なら、最初から現地SIMを併用するつもりで行ったほうがいい。
ソフトバンク:海外データ放題が始まった
ソフトバンクは2026年4月に「海外データ放題」を発表した。200以上の国と地域が対象で、数だけ見ればいちばん広い。
ただし、そのまま無条件で使えるわけではない。「世界対応ケータイ」と「海外あんしん定額」への加入が必要で、加入しているプランによって使い放題になるか、月3〜5日分がつくかが変わる。
使い放題といっても完全な無制限ではなく、24時間で10GBを超えると最大4.5Mbpsに、60日以上の連続利用でも制限がかかる。とはいえ4.5Mbpsは動画も普通に見られる速度なので、実用上そこまで困る数字ではないと思う。
ソフトバンクの人は、出発前に自分のプランがどちらの扱いなのかだけ確認しておくのがいい。ここを間違えると、使い放題のつもりが3日分しかなかった、ということになる。
ワイモバイル:月2GB無料は「まだ」始まっていない
ワイモバイルも月2GBまで追加料金なしにする、という発表をしている。ただ当初は2026年夏の予定だったが、2026年秋以降に延期された。この記事を書いている時点ではまだ始まっていない。
そのかわり移行措置がある。「海外あんしん定額 定額国L」と「海外パケットし放題」の料金を、毎月最大6,860円分まで無料にする、というものだ。タイは定額国Lの対象なので、これで実質カバーされる。
適用の開始時期はプランで違っていて、シンプル3は2025年9月25日から、シンプル2とシンプルは2026年7月の利用分から。どちらも2026年秋頃までの措置とされている。
要するにワイモバイルの人は「いまは移行措置で無料、秋から正式に2GB」という理解でいいと思う。ただし手続きが要るタイプなので、出発前に自分の契約で何が適用されているかは見ておいてほしい。
au・ドコモ・povo・LINEMO は「1日いくら」タイプ
この4つは追加料金なしではないけれど、必要な日だけ買う形なので、短い滞在ならむしろ安く済むこともある。
au は「au海外放題(世界データ定額)」で、タイは予約割の対象国。事前に予約しておけば800円/24時間、予約なしだと1,200円/24時間。データチャージ(無料)への加入が必要だ。対象の料金プランなら毎月15日分が無料になる特典もある。
ドコモは「世界そのままギガ」で、1時間200円、24時間980円、7日5,280円という具合に期間を選んで買う。空港の乗り継ぎで1時間だけ使いたい、みたいな使い方ができるのは面白い。ただし対象の国・地域は公式のリストで確認してから出たほうがいい。
povo は海外データトッピングを買う形で、タイ・ベトナム向けの3GB/7日といった商品がある。2025年10月3日以降に加入した人は申し込みが必要。LINEMO も世界対応ケータイでタイは対象だけど、これも別料金になる。
比較表(2026年8月時点)
| キャリア | 追加料金なしの枠 | 対象国数 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 楽天モバイル | 月2GB | 107 | 超過後128kbps。追加1GB 500円 |
| ahamo | 月30GB(国内と合算) | 91 | 15日超で128kbps。帰国まで戻らない |
| ソフトバンク | プランにより使い放題/月3〜5日分 | 200以上 | 「海外あんしん定額」への加入が必要 |
| ワイモバイル | 秋以降に月2GB(現在は移行措置) | — | いまは最大6,860円分まで無料の形 |
| au | なし(対象プランは毎月15日分無料) | — | 800円/24時間(予約時) |
| ドコモ | なし | 70以上 | 24時間980円、1時間200円から |
料金と対象国は変わる。出発前に必ず自分の契約している会社の公式ページで確認してほしい。特にワイモバイルとソフトバンクは、ここ1年で条件が何度か動いている。
出発前にやっておくこと
ローミングで行くと決めたら、日本を出る前にこれだけ済ませておくと安心だ。
データローミングをONにする。 iPhoneなら設定 → モバイル通信 → 通信のオプション → データローミング。Androidも似た場所にある。ここがOFFだと、対象国にいても繋がらない。
使わないアプリの自動更新とバックアップを切る。 楽天モバイルの2GBのような枠だと、iCloudの写真バックアップが一発で食い潰す。到着してから慌てるより先に切っておくほうが楽だ。
データ使用量のアラートを設定する。 Androidなら標準機能がある。iPhoneは出発前に使用量をリセットしておくと、現地でどれだけ使ったか分かりやすい。
自分のプランの条件をスクリーンショットで持っておく。 現地で「あれ、これ何日分だっけ」となったときに、電波が細い状態で公式ページを開くのはつらい。
ローミングで足りないなら SIM2Fly
1ヶ月以上いる、テザリングでパソコンを使う、動画を見る。こういう使い方だと、ローミングの枠はまず足りない。ahamo の15日制限にも引っかかる。
その場合に手軽なのが、タイのAISが出している SIM2Fly だ。日本の Amazon でも物理SIMが買えるので、出発前に手配しておけば空港で並ぶ必要がない(Amazon の SIM2FLY 一覧/PR)。
買うときは「Asia & Australia」なのか「Global」なのか、何GBで何日間かを商品ページで確かめてほしい。出品者によって中身がばらばらだ。タイで使うだけなら Asia 版で足りる。
使い方は別の記事に書いた。
まとめ
短い旅行や出張なら、いまは何も準備しないのがいちばん楽という時代になった。楽天モバイルと ahamo は特にそうだ。
気をつけたいのは、ahamo の15日制限と、ソフトバンク・ワイモバイルの「加入が必要」という部分。ここだけは出発前に自分の契約を見ておいてほしい。
そして長く滞在する人はローミングを当てにしない。これが結論だ。2週間を超えるなら、現地SIMを最初から用意しておくほうが、結果的に安く済むし気も楽だと思う。

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