タイの自動車メーカーMGは2019年7月、電気自動車 MG ZS EV 2019 の販売を開始しました。ハイブリッド車ではなく、バッテリーのみで稼働する、完全な電気自動車です。
目次
MG について
MG は英国の名門自動車メーカーでしたが、2008年に上海汽車の傘下に入り、タイではコングロマリッドであるCPグループと合弁で工場を設立、2014年から製造を開始しています。タイでは値段が比較的安く、デザインも良いということで、販売は好調です。
MG ZS EV の価格
今回販売される電気自動車 MG ZS EV 2019 は、119万バーツという手頃な価格です。これは、完成車を中国から輸入しているものの、中国ASEAN自由貿易協定を使って輸入関税はゼロ、タイの物品税が電気自動車は8%(エンジンモデルは20%)となっているためです。
同型車のガソリンモデルと価格を比較してみます。
ガソリンエンジンモデルは67.9~78.9万バーツ。電気自動車は119万バーツと、その差は40.1万バーツ。問題は、この差に見合う何かがあるかどうかですね。
ちなみに、これ同サイズのホンダ HR-V が94.9~111.9万バーツ。トヨタの C-HR は、ハイブリッドモデルが115.9万バーツで、ガソリンモデルが97.9~106.9万バーツ。こう比べると、120万バーツ出すなら C-HR のハイブリッドを買うかな?という気もします。

(トヨタ C-HR / By EurovisionNim, CC BY-SA 4.0, Link)
ただし、電気自動車に限るなら、タイでは日産リーフでも199万バーツしますので、それに比べると割安ですね。

(日産リーフ / By Vauxford, CC BY-SA 4.0, Link)
MG ZS EV の航続距離とタイの充電スタンド事情
MG ZS EV のカタログ上の航続距離は337kmです。が、実際にはそこまで行けないでしょうね。タイは暑いのでエアコンも使いますし。
ただ、タイも給電施設が整いつつあります。タイの充電サービス E ANYWHARE が提供している、タイ全土の充電スタンドの地図です。
地方はまだ少ないですが、バンコクなら数km圏内に見つかりそうです。問題は、金曜の夕方、地獄の渋滞に捕まったときに、充電スタンドまでたどり着けるかですね。
ちなみに充電料金はどこでも似たような金額で、
- 60分 / 50バーツ
- 120分 / 80バーツ
- 180分 / 110バーツ
- 240分 / 150バーツ
といった感じになっています。充電時間を過ぎて車を取りに来ないと、駐車料を徴収するところもあります。
バンコク大学ランシット校の近くにある、電力公社にも充電スタンドがありました。
電気公社に充電スタンドがあった。警備員さんに聞いてみたら、電気自動車のVIPタクシーや一般車がよく来るそうだ。いまなら充電無料。 pic.twitter.com/NS5Om56Omt
— nisizawa (@nisizawa) July 24, 2019
E ANYWHARE で充電ができる車種一覧です。
こうしてみると、まだ車種は少なく、そして高級車が多いですね。三菱 i-MiEV も載っていますが、タイ三菱では販売していません。今回の ZS EV が、タイで庶民が買える初めての電気自動車ということになりそうです。
総評
初めての電気自動車ということで注目を集めてはいるものの、現状ではメリットがよくわからないと、様子見のコメントも多いです。今後の売れ行きに注目したいと思います。
同じ電気自動車であるテスラのモデル3も、中国で生産を始めています。この MG ZS と同じようにタイに輸入されるようになれば、人気が出るかもしれませんね。

(テスラのモデル3 / By Carlquinn, CC 表示-継承 4.0, Link)
モデル3の米国での価格は3万5千ドルで、現在の為替レートだと 35,000 x 31 = 108.5万バーツ。この値段だったらバカ売れ間違いなしだと思います。
ちなみに MG ZS のルーフは透明になっていて、社内から空が見えるんですが、これってテスラ車もそうですよね。真似たんでしょうか?
画像集
MG 公式サイトから引用した、MG ZS EV の写真を載せておきます。